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過去の失恋が気づかせた、わがままプリンセスすぎた私とパートナーシップの本質

Written by
花野みずき (はなの みずき)

 

 

過去の恋愛を振り返って、穴があったら入りたいくらいの恥ずかしさに襲われること、ありませんか?

 

とはいえ、私はそれほど恋愛経験が豊富ではなく、今も彼氏がいない期間記録を更新中。
過去の恋愛といっても、するめいかをしゃぶるかの如く、同じ思い出を反芻しているだけなのですが…

 

そのなかに「いや~~あのときの私、わがままプリンセスすぎた…!」と、思い出すたび、恥ずかしさに身もだえする思い出があります。

 

エスコートしてくれない、年上の彼

 

私がわがままぶりを発揮してしまったのは、大学時代に付き合っていた先輩と、遠距離恋愛になったときのことです。
彼が先に就職して東京へ行き、私は大阪。
夏休みに会いに行って、数日間彼の家に泊まらせてもらったことがありました。
当然平日は、彼は仕事なので私はひとりで観光するしかなかったのですが、休みの日には一緒に出かける予定にしていたのでそこは特に気に留めず。
むしろ、どんなところに連れてってくれるんだろうかと、ひそかに楽しみにしていました。

 

 

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でも、待てど暮らせどどころか、当日になっても具体的なデートプランの話は一切されず…
そう、よく言えば気の向くままに、悪く言えば行き当たりばったりのデートになったんです。

 

そんなの、大阪にいた頃と一緒じゃん…
あの頃はそれで充分だったよ…いつでもどこでも行けたから…
でも、久々に過ごす二人の時間なのに…
あなたは住んでても、私はめったに来れない東京なのに…

 

そんなモヤモヤが、出かけるときから薄っすら溜まっていき、決定打になったのが映画でした。

 

行き当たりばったりのなかで、前から二人とも気になっていた映画でも見に行くかという流れになったんです。
「日本全国どこでも行ける映画…でもまあまあ、まあ」と、心の中で一旦飲み込む私。
気になってた作品だし、それを彼と一緒に見に行けるのは素直に嬉しいし。
ただ、大ヒット映画だったことと、思い立ったのが直前すぎたせいで、なかなか空席のある映画館も、ちょうどいい時間帯の上映が見つからなくて。
ようやく予約できたものの、少し足を伸ばす映画館で、しかも前方のほうの席しかありませんでした。
見上げるような角度で観ることになって、首が痛いなあとは思いながらも、映画自体は普通に面白くて、上映後も感想を言い合ったりしてそれは純粋に楽しかった。

 

 

“年上の彼が自分のためにデートの計画を立ててくれなかったことへの寂しさが積もり、不満として爆発してしまった。”

 

 

 

だけどその後、少し時間が経ってから、ふと話の流れで上映館探しにまごついたことと、バッドコンディションで鑑賞したモヤモヤを思い出してしまい、彼を責めるようなことを言ってしまったんです。
「もっと早く予約してくれてたらよかったのに」的なことをぶつけてしまったんですが、今思えば、映画の座席なんてどうでもよかったんです。

 

本当に引っかかっていたのは、「私のために段取りしてくれなかった」ことに対する寂しさでした。

 

映画に限らず、私が訪問することは決まっていたのに、「ここに連れていきたい」「これを見せたい」といったデートプランを彼が考えてくれていないことが、やっぱりずっとしこりになっていたんですよね。

 

だってさ、年上の彼ですよ。
一足先に社会人、大人になった彼。
こっちはまだ、遠距離をひょいとは会いにいけない大学生。

 

そんなの、正直エスコートされたいとか、甘やかされたい的な憧れ抱いちゃうじゃないですか。

だから、
「毎週は会えないから!!」
「どっか連れてってくれるの?!くれないの?!」
と、ドリカムの『大阪LOVER』(私たちの舞台は東京だけど)さながらに、小さな不満を募らせ、結果、彼を一方的に責めることになってしまったんだと思います。

 

 

 

 

ディズニープリンセスだって自力で道を切り拓くのに

 

そんな感じで、その時の私は、彼に対して「もっとこうしてほしい」「わかってほしい」と求めるばかりでした。
土地勘は彼のほうがあるだろうし、年上だし社会人だし…と、とにかく自分から動くよりも、彼がリードしてくれるのを期待していました。

 

そんなあの頃の私にツッコみたい。

 

「いや、どこぞのプリンセスやねん」と。

 

時代は令和です。(当時はまだ平成ですが)

 

馴染みのない土地だろうが、なんなら海外だろうが、この手のひらに収まっている便利な電子機器1つで何でも解決する時代です。
美味しそうなお店、面白そうなスポット、見たいもの、行き方、リアルなレビューも全部調べられます。
それを彼がするか、私がするか、二人でするか、その三択。

 

というか、新社会人になったばかりの彼は、新しい土地で仕事にも生活にも慣れるのに精いっぱいで、毎日必死だったはずです。
今思えば、デートプランを練る余裕なんてそうそうなかったでしょう。
むしろ、彼が仕事中、ひとりで時間を持て余していたのは私のほうです。

 

 

“彼の優しさや気遣いに十分満たされていたはずなのに、当時の自分は「もっと特別にしてほしい」と受け身のまま欲を募らせていたことに気づき、今では恥ずかしく思っている。”

 

ディズニープリンセスだって、自分の足でたくましく道を切り拓いていく時代に、お城のてっぺんの窓辺で優雅に白馬の王子様を待ち続ける、超受動的プリンセスになってた。恥ずかしすぎる。

 

しかも、彼は何もしてくれなかったわけじゃありません。
滞在中、私は誕生日を迎えたのですが、その日にはおしゃれなレストランを予約しておいてくれたし、プレゼントに手紙まで書いてくれていました。

 

なんて素敵な彼氏!!!
それだけで十分ありがたいでしょうが!!!

 

と、当時の私を引っぱたきたい気分です。

 

それでも、そのときは本気で悪気なく「もっと」を求めていたんだから、恐ろしい話です。

 

 

次こそは、お互い与えあえるパートナーに

 

そんな子どもすぎる不満をぶつけても、彼は私に言い返したり愛想をつかす素振りもなく、むしろ優しく「ごめんね」と謝るだけでした。
もう十分甘やかされていたどころか、私は負担ばかりかけていたのに、そのときは全然気づけなかった。

 

ようやく気づいたのは、自分が社会人になってからのことでした。
社会に出て、右も左も分からない環境で毎日働いて、生活を紡ぐことが、どれだけエネルギーがいることか。
私は慣れ親しんだ地元に帰って、しかも実家から通える会社に入社したのに、それでもしんどかった。
重い足取りで家路につくなかで、ふと彼の顔が浮かび、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

 

 

“過去の未熟さから彼に思いやりを欠いていたことを今になって悔いながらも、謝るのではなくその痛みを胸に刻み、自分への戒めとして受け止めている。”

 

 

彼はきっと、いっぱいいっぱいの中で、それでも私に時間を割いてくれてたのに。
疲れて帰ってきて、家で一人になれる時間がなかったのもしんどかったよな、きっと。
私だったら、帰って彼氏が居て嬉しいのはせいぜい最初の1-2日だけだもん。
3日目くらいからちょっと鬱陶しくなっちゃうし、休みの日はゆっくり家で寝たいわ。
そう思うと、まあまあ骨の折れる彼女だったなと、失笑してしまいます。

 
でも、気づいたときには、時すでに遅し。
彼とは、私が社会人になる随分前にお別れしてしまっていたので、謝ることも挽回することもできないままです。
何年も経った今も、こうしてたまに申し訳ない気持ちがチクッと心に蘇ります。
でも、これくらいのチクチク、私が彼にぶつけた思いやりのなさに比べたら全然たいしたことありません。
だいたい、今さら謝るのもおかしな話だし、何よりそれは結局自分が許されたい、スッキリしたいだけ。
そんなの、逆にまた彼を傷つけることになります。

だから、このチクチクはそっと胸にしまっておく。
むしろ、これを抱えたまま生きていくことが、自分への戒めになる気がします。

 

 

 

 

…いや、それはさすがに綺麗事かな。
これで多少、当時の罪滅ぼしにならないかなって邪な気持ちもあるし。

 

でも、もしいつかまた誰かとお付き合いできたら、次こそ、求める人ではなく、相手を思いやって自分から与えられる人になりたいです。
子どもすぎる私を受け止めてくれた、優しすぎる彼から教わった大事なこの教訓はこれからも忘れずにいたいと思います。

 

……と言いつつ、書いていたらあまりにも申し訳なさが溢れてきたので、この場を借りてこっそり彼に謝らせてください。

あの時はマジでごめん!!!ほんとありがとう!!!

ライター:プロフィール

とにかく「言語化」することを軸に、自身のnoteを中心に活動するライター。
心や頭に浮かぶ漠然とした不安やモヤモヤも「言語化」にできると少し落ち着く。目まぐるしく変化する時代でも、地に足をつけていられるよう「ことば」でその道を照らしたい。


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