【エッセイ】50代のオンラインデートが教えてくれた、私自身のこと

母が心臓手術後の脳卒中で病院のベッドに横たわり、目を閉じたまま半分眠っている状態で、ときどき思いついたように言葉をこぼしていました。そのひと言ひと言が、私にはとても愛おしいものでした。
「夫に会いたいの…」
涙を流しながらそう言う母に、私は「お父さんの魂はこの部屋にいるよ」と慰めました。
「あなたは36年も素敵な夫がいて幸せだったよね。私はまだ見つけられていないけど」と続けると、母は突然目を開け、私のほうを向いて指をさしました。
「探すのをやめなさい!」
そう言って、また眠りに落ちたのです。
“52歳で結婚歴も子どももない私は、自由で自立した一人の人生を大切にしながらも、人生をより豊かにしてくれる対等で誠実なパートナーを望んでいます。”
私は52歳。結婚したことも、子どもを産んだこともありません。婚約したことすらありません。
本気で「この人と人生を共にしようかな」と思った相手は3人ほど。
個人的にも職業的にも、私はずっと“型破り”な人生を歩んできました。
私の自由は、海で泳ぎ、絵を描き、モザイクアートを作り、文章を書き、旅をし、山を歩き、心理学を学び、瞑想し、料理をする…そんな“好き”を深めることを許してくれるもの。
ひとりで暮らすことにすっかり慣れ、独立心を何より大切にしています。
ひとりで幸せ。でも、人生をより豊かにしてくれるパートナーを願うこともあります。
ドラマや面倒ごとはいらない。中途半端な扱いはもう受けません。私は“パンのかけら”ではなく“まるごとのパン”を受け取るに値するのだから。
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45〜65歳の男性とオンラインデートをしてきた数年間で、スタンドアップコメディができるくらいのネタが集まりました。
初デートで足フェチであることを暴露してきた数学教授。
「一緒に付き合おう」と言ってきたのに数週間で「他の人ともキスしていい?」と言い始めた別居中の男性。
控えめそうに見えたのに「元妻とよく3人プレイしていました」と語る男性。
大量の電子機器を溜め込み、シンセサイザーを抱いて寝るエンジニア。
家中が家電製品で動いていて、私がアレクサに冗談を言ったら本気で怒ったテック系男子。
オンラインデートのプラットフォームはこれまで4つほど使いましたが、新しいアプリほど多くの機能が増え、どこか人間味がなくなっている気もします。
私は基本、写真もプロフィールも全部読みますが、メイン写真がNGなら即スキップ。

NG例:
・バスルームの鏡越し自撮り
・なぜかカップル写真
・トランプ支援のMAGAグッズ着用
・段ボール箱から出てきたような見た目
注意すべきことは他にも、偽名、職業なし、避けたい条件の羅列、露骨な性的コメント、“オープン”関係、3人組募集のカップル…。
マッチしたら、メッセージのやりとり後に電話番号を交換することもあります。
長々とやりとりする時間はないので、1〜2週間以内に会いたいタイプ。
初デートはコーヒーか食事で。場所は静かで話しやすいところを選び、友人にも予定を共有しておきます。
母が「探すのをやめなさい!」と言ってから3週間後、彼女は亡くなりました。その言葉は今でも胸に残っています。
ほとんど言葉を発しなくなっていた母が、あの瞬間だけ突然目覚めて放った言葉。
まるで天からのメッセージのようでした。
“母を亡くした初めてのホリデーシーズンの寂しさからオンラインデートを再開したものの、短い関係を通して「今の自分にはオンラインデートは合わない」と気づく経験になりました。”
でも、母のいない初めてのホリデーシーズンが近づくと、私は心細くなり、再びアプリを開いていました。
そこで出会った男性は面白くてクリエイティブで、母の死にも共感してくれた人。でも、別居したばかりで、仕事を失い、依存症も抱えていると正直に話してくれたので、長く続かないことはわかっていました。
1か月後、私たちは友達になり別れました。
母の言葉がまた胸に戻ってきました。「探すのをやめなさい!」
最後のオンラインデートで私は母にも自分にも“背いた”ように感じていました。でも気づいたのです。
これは失敗ではない、と。ただ、母のいない初めての季節に、私は人肌のような温もりを求めただけ。
あの短い関係は、「オンラインデートは今の私にはベストではない」という優しい教訓でした。
母の「探すのをやめなさい!」という言葉は、時が経つほど深い意味を帯びていきます。
母が言っていたのは、男性探しだけではありませんでした。
「探しているものは、すべて自分の内側にある」
今はそう感じています。
私の人生の目的は、情熱を追いかけること。
文章を書くこと、アートを作ること、旅、泳ぐこと、社会的弱者の支援、大切な人たちと過ごす時間。
私は“探す”のをやめました。
その代わり、心を開きながら、人生の流れに身を任せています。
友人や家族とのつながりを深め、新しい経験や人との出会いに対しては、いつでもオープンでいようと思っています。
この記事を翻訳したものです:https://www.thegoodtrade.com/features/online-dating-in-my-50s/