「親との関係」は、私たちのパートナー選びにどう影響するのか?
恋人との絆は、趣味や相性が合った「偶然の出会い」のように感じられるかもしれません。
でも、少し深く見ていくと、親との関係は私たちが惹かれる相手に大きく影響していることに気づきます。
私たちは、胎内にいる時から、ケアをしてくれる人の愛情、または愛情の欠如によって形づくられます。
こうした経験は、
- 自分自身の捉え方
- 世界の見え方
- 愛や信頼、親密さの感じ方
- 親密な関係に対する期待値
……などの“設計図”となって、無意識に根づいていくのです。
親と似たパートナーに惹かれる理由
あるとき、私は「今付き合っている人は、母の男性版だ」と気づき、衝撃を受けました。
それは混乱とともに、深い内省と癒しの始まりでもありました。
私は、母の良い部分だけでなく、好きではない部分にも似た相手に惹かれていたのです。
それは、私の中にまだ癒されていない母との関係があったからでした。
この繰り返されるパターンから抜け出す準備が、ようやく整ったのです。
Contents
1. 親との関係は、恋愛にどう影響する?
心理学には「愛着理論(アタッチメント・セオリー)」という考え方があります。私たちは親や養育者との関係を通して、他者との愛や親密さを学びます。
愛着スタイルには以下の4タイプがあります:
- 安定型(secure)
- 不安型(anxious)
- 回避型(avoidant)
- 混乱型(disorganized)
親から愛され、安全で信頼できる関係の中で育った人は、健全な恋愛関係を築きやすくなります。
逆に、混乱・無視・虐待などがあった場合、それに似た相手を無意識に選ぶ傾向があるのです。
2. 親と似たパートナーを無意識に求めるのはよくあること?
はい、非常によくあることです。
人は「馴染みあるもの=安心」と無意識に感じる傾向があり、それがたとえネガティブな特徴であっても、心はその方向に向かってしまいます。
トラウマセラピーには「反復強迫(Repetition Compulsion)」という概念があります。
これは、過去のトラウマ体験を無意識に繰り返してしまう傾向のことです。
3. 親に似たネガティブな人ばかりを選んでしまうとき、どうすれば?
まず「気づいたこと」自体が、大きな一歩です!このパターンを変えるには、まず内面の傷を癒す作業が大切になります。愛着理論に詳しいセラピストとの個人セラピーも有効です。
そのうえで、次のような行動をとってみてください:
親に似ていたネガティブな特徴をリストアップし、「赤信号」として意識する
見た目やステータスではなく、「関係性を築く力」がある人を見極める
(例:誠実さ、自己理解、感情表現、思いやり、正直さ、継続力 など)
自分の「神経の高ぶり」に気づく習慣をつける
ドラマのような起伏の激しい恋愛は、「愛」ではなく、緊張状態への中毒かもしれません。
最初はつまらなく感じても、「安定・安心・穏やかさ」に魅力を感じる練習をしていきましょう。
4. より健全な恋愛をするために意識すべきこと
- 自分にやさしく、根気よく接すること
- パターンの背景にある“理由”を学び、新しいスキルを実践すること
- パートナーと一緒にカップルカウンセリングを受けるのも◎
- 「完璧な人になる」ことではなく、「成長する機会」として恋愛をとらえること
もし、何度も同じような恋愛で傷ついたり、孤独を感じているなら、あなたはひとりではありません。変化の第一歩は、今のパターンを受け入れ、理解すること。そして次にできるのは、「新しい関係性のための言葉」を学んでいくことです。
最初は不器用でも、やがて自然に話せるようになります。それが、健全な恋愛関係を育むということなのです。
