たとえ変化しても、パートナーと共に成長していくには
人生には、永遠に続くように感じる季節もあれば、ある朝ふと目覚めて「もう10年も経ったんだ」と気づく瞬間もあります。
自分は年を重ね、変わっていて、昔の自分はもはや遠い記憶のよう。ベッドで横を見ると、隣にいる相手もまた変わっていることに気づきます。それが必ずしも悪いことというわけではありません。ただ、そこにいるのは、かつて恋に落ちたあの人とは少し違う顔をした誰かです。
この文章を読んでいる今、私たち夫婦はメキシコの海辺で乾杯しているところかもしれません。今年で結婚13年目を迎え、初心を振り返るために海辺の旅を計画しました。でも、ここまでの道のりは決して楽なものではありませんでした。
最初の数年は、正直かなり大変でした。恋の熱が冷めて、現実的な生活が始まると、まず私のほうが変わっていきました。20代前半の私はまだ自分がどんな人間なのか、何を信じているのかすら分からない状態。自分の価値観や考え方を見直し始めるのは難しいことですが、新婚生活の中でそれをやるのはなおさら大変でした。
変わったのは考え方だけじゃなくて、好みも、友達も、目標も、夢も全部。自分が誰かもわからないまま、それでも前に進んでいました。夫の変化はもっとゆっくりで、何度かの転職や、自分の信念を見つめ直すことで、彼も少しずつ変化していきました。
それぞれが成長する中で、ふたりの方向がずれていった時期もありました。特に結婚初期の数年間は、お互いのことがよくわからなくなっていたと思います。「またふたりで同じ方向を向ける日は来るのかな?」と不安になることも多かったです。
でも、人は変わるもの。変わらないことのほうが不自然です。様々な経験や困難を経て、人はどんどん新しい自分になっていきます。まるで粘土みたいに、何度も形を変えていく──そしてそれは、パートナーも同じなんです。
一緒にいることがいつも簡単だったわけじゃないけれど、大きな変化の中にこそ「成長」というご褒美があったと思います。簡単ではないけれど、美しくて価値のあるもの。それが、共に変化しながら歩むことの意味だと、私は思っています。
私たちが出会ったのは14年前、コロラドの空があまりに澄んでいた寒い1月の日でした。出会ってすぐに夏のロマンスが始まり、その秋、私が大学のために引っ越したあとも、遠距離恋愛をしてみようと決めました。そしてそれがうまくいき、2年後、再びコロラドの空の下で結婚式を挙げました──今度は雷雲が浮かぶ空の下で。
もちろん、すべての関係が永遠に続くわけではありません。人それぞれ、カップルそれぞれにベストな道があります。私たち夫婦にとっては、「たとえ今のお互いが昔と違っていても、一緒に歩んでいきたい」という気持ちがありました。昔の自分とは違っても、今の自分同士としてまた向き合うことで、新しい関係を築いていけるのだと思います。
そして、私がこの道のりの中で学んだことがいくつかあります。そのヒントをお伝えします。
Contents
パートナーと共に成長していくためのヒント
1. 自分にも、相手にも正直でいること
私が結婚して間もない頃、ずっと信じてきた宗教的な価値観に疑問を持ち始めました。そこで、私は夫にその気持ちを伝えることにしました。とはいえ、大きな話し合いを一度したわけではなく、数ヶ月かけて小さな会話を何度も重ねていったんです。最初はとても怖かったし、意見が合わないこともありましたが、自分の内面の変化を見守ってくれる人がいることに安心感を覚えました。そして、このプロセスを共有することで、私たちはむしろより深くつながることができたと感じています。
正直さは、やっぱり大切です。自分自身や大切な人に対して正直でいることで、関係はより健やかに育ちますし、何よりも心の平穏が保たれます。それがたとえ小さな変化──新しく好きになった食べ物でも、宗教を変えたことであっても──パートナーに伝えることで、今のあなたの気持ちや経験を理解してもらえるようになります。そして、相手もまた自分の変化を安心して話せる空気が生まれます。勇気がいることではあるけれど、トライする価値はきっとあるはずです。
2. お互いに興味を持ち続けること
私の夫は、今でも出会った頃と同じように冒険好きでおちゃめな人です。でもこの10年で、趣味も増えたし、政治的な立場も変わったし、海より山が好きになったみたい。人も、関係も、少しずつ変わっていくものですよね。でも、その変化に興味を持ち続けることで、関係は新鮮さを保てます。
「出会った頃の気持ち、思い出してみて」
だからこそ、今もパートナーと“デート”してみてほしいんです。出会った頃のようにワクワクした気持ちで、ちょっとおしゃれして新しいレストランに行ったり、行ったことのない街に旅してみたり。真面目な話も軽い話も、どちらも大切にしていきましょう。
3. 関係の外での「自分の成長」も大切にする
パートナーと一緒に成長することは素晴らしいことですが、それと同じくらい「ひとりの自分」を育てることも大切です。関係は自分を補完するものであって、すべてではありません。まずは自分自身を大切にしなければ、相手をしっかり支えることもできません。
成長のタイミングでは、ひとりの時間を意識的に持つことも必要です。ただの「離れる時間」としてではなく、呼吸を整える時間、変化を整理してクリアな心で戻ってくるためのスペースだと思ってみてください。それは午後の数時間かもしれないし、数日、あるいは数週間という場合もあるでしょう。どんな形であれ、その時間は関係にとってきっとプラスになるはずです。
4. 周囲のサポートに頼る
一緒に成長していくのは、正直、すごく大変なときもあります。そんなときは、信頼できる友人や家族、カップル向けのサポートに頼るのも大切です。どんなカップルも完璧な人ではありません。自分の変化や、相手の変化が理解できずにモヤモヤすることだってあります。
そんなときこそ、周囲の人たちの支えが力になります。同じような経験をしているカップルの友人たち、あるいはカウンセラーなどの専門家の助けを借りるのもひとつの選択肢です。
5. 昔の自分たちを一緒に振り返り、祝福し、そして見送る
最後に。自分や相手が、もう「昔の私たち」ではなくなっていると気づくことには、少し寂しさや悲しみが伴うこともあります。でも、それを受け入れることこそが、自由への第一歩かもしれません。
変化に対処する時間を取るのは大切なことです。ただ、過去に戻ろうとするのではなく、今ここまで歩んできた道のりを振り返ってみましょう。かつての自分たち、あの頃のふたりを誇りに思い、そして必要であれば、その終わりに静かにお別れを告げてもいいんです。過去の自分とパートナーが、今のあなたたちをここまで導いてくれたことに感謝して。
そして今、変化を迎えた新しいふたりとして、再び向き合っていきましょう。
きっとある朝、目を覚ましたときに隣にいるその人が「知らない人」なんかじゃなく、「ずっと愛してきた人」なんだと気づけるはずです。少しだけ変わっただけ。あなたも、相手も。
