仕事を失ったとき、自分や大切な人を支える方法
昨年11月、パートタイムの仕事を解雇されました。その後の数週間はとても辛い時期でしたが、友人や大切な人たちが変わらずにそばにいてくれたことに、本当に救われました。
ただ、仕事を失った直後、まわりの反応は必ずしも自分が思い描いていたものではありませんでした。何かしらの慰めの言葉をかけてくれると思っていた人たちの多くが、逆にその話題を避けるように、他の話をしたり、連絡を控えたりすることがありました。
最初はそうした沈黙に傷つきましたが、今となってはその気持ちもよくわかります。自分も同じ立場だったら、どんなふうに寄り添えばいいのか迷ってしまうと思うからです。
この経験を通して、私は自分自身をどう支えるか、そして仕事を失った大切な人をどう支えるかについて、まさに「実践で学ぶ」時間を過ごしました。ここで得た学びが、今困っているあなたや、将来同じような立場になる誰かの力になれば嬉しいです。
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仕事を失った大切な人を、どう支えればいい?
まずは、「どうすればいいか」から考えてみましょう。
大切なのは、あなたがその人について何を知っているかを思い出すこと。たとえば私自身は、人に気持ちを話して「つらかったね」と優しい言葉をかけてもらったり、ぎゅっとハグしてもらったりすることで大きな安心感を得るタイプです。もしあなたの友人や家族が同じようなタイプなら、最初に必要なのは、そっと寄り添って話を聞いたり、「大丈夫だよ」と言ってあげたりすることかもしれません。
反対に、1人で静かに気持ちを整理するのが好きなタイプの人なら、「いつでも話を聞くよ」と伝えるだけで、無理に話をさせたりしないことの方が助けになるでしょう。
セラピストのアーロン・ギルバート氏は、こう語っています。
「最も大切なことは、大切な人のそばにいてあげることです。とてもシンプルですが、実際にはとても難しいことでもあります。誰しも、目の前の問題を解決したくなってしまうものですが、まずは落ち着いて、アドバイスではなく“ただ聞くこと”を意識してみてください。」
仕事を失うと、自尊心が大きく揺らぎます
どんな理由であれ、本人は「自分はどこかで間違った選択をしてしまったのでは」と感じたり、「自分の価値が認められていないのでは」と思いがちです。私自身も、まさにそうでした。
キャリアコーチのジャネル・アブラハム氏はこう言います。
「感情面では、仕事を失う前と変わらずその人は“価値ある存在だ”ということを、何度でも思い出させてあげることが大切です。失業したことは、その人の内面の欠陥ではありません」
そして、最初のショックが落ち着いてきたタイミングで、あなたの「実務的なサポート」がとても力になります。
アブラハム氏によれば、こんなことが役立つそうです:
- 履歴書やLinkedInのプロフィールを一緒に見直す(本人が希望した場合)
- 自分のネットワークで役に立ちそうな人を紹介する
- 求人情報を送るのは、本人が「欲しい」と言ったときだけ(それ以外はプレッシャーになる場合も)
- コーヒーをごちそうしたり、仕事とは関係のない気晴らしに誘って「あなたは仕事だけじゃない」と思い出させてあげる
こうしたサポートが、大切な人の再出発の力になるはずです。
次に、「何を言えばいいか」について:
相手に悪気はなかったのだと思いますが、私が仕事を失ったことにまったく触れず、話題を避ける人たちに対して、当時とても傷ついたのを覚えています。私はむしろ、少しでも話したかったんです。もちろん、何時間も語りたいわけではありませんでしたが、それは間違いなく私の人生で“今、起きていること”でした。だからこそ、その話題を避けられると、「私のことに興味がないのかな」と感じてしまいました。
「周囲の人が仕事を失った大切な人の話題に触れないのは、本人の気持ちを守ろうとしたり、気を紛らわせてあげようとしたりする意図からですが、実際には“苦しいときに寄り添ってくれる存在であること”こそが、一番の支えになります」と、セラピストのギルバート氏は言います。
「本人が話したいかどうかを尊重し、どちらであっても『自分はあなたの味方でいるよ』と伝えることが、真の“そばにいる”という姿勢です。」
ギルバート氏とアブラハミ氏によると、以下のような声かけが有効です:
- 「こんな状況になって、本当に辛いよね。話したかったら、いつでも聞くよ。もちろん、他の話でも全然OKだよ」
- 「すごく大変な時期だよね。もし気持ちを吐き出したくなったら、私は聞く準備ができてるよ」
- 「何か必要なことがあれば、何でも言ってね」
※ギルバート氏は、より具体的な提案をするのも効果的だと言います
例:「明日、夕食を持っていこうか?」「週末、一緒にハイキングに行かない?」「少し休めるように、お子さん見てるよ」など - 「今回のことがあなた自身を決めるものではないよ」
反対に、アブラハミ氏は次のような言葉は避けるべきだとアドバイスしています:
- 「すべてのことには意味があるんだよ」
- 「すぐに次が見つかるって!」
- 「〇〇に応募してみた?」
- 「△△の会社から返事きた?」
たとえ励ますつもりでも、無意識にプレッシャーをかけてしまう可能性があるので注意が必要です。
仕事を失ったあと、自分をどう支えるか?
仕事を失うことは、非常に孤独な体験です。たしかに、友人やパートナー、家族は私のそばにいてくれましたが、LinkedInのフィードをうなだれながら眺めている間、ずっと手を握ってくれるわけではありません(それができたら嬉しいですが)。どんなにつらい経験でも、すべての瞬間にそばにいるのは自分自身。だからこそ、自分をきちんとケアする必要がありました。
正直に言うと、ほとんどの時間はLinkedInを閉じてNetflixを開いたり、PCから離れてホリデーショッピングに出かけたりしていました。専門家の推奨とは言えませんが、それでも少しずつ気持ちが回復していったのです。
キャリアコーチのアブラハミ氏はこう語ります:
「この時期のセルフケアは、甘えではなく“安定・自己への思いやり・回復力”のためのもの。感情を整理し、自信を取り戻し、前に進むための明確さを取り戻す助けになります。これがないと、不安から動きすぎて燃え尽きてしまう可能性があります」
セラピストのギルバート氏もこう付け加えます:
「セルフケアをするかしないかで、仕事を失った体験を乗り越えられるか、それに押しつぶされるかが分かれると言っても過言ではありません」
私たちは、睡眠不足の翌日に気持ちが沈んだり無性に甘いものが欲しくなったりするのをよく知っています。困難な時期こそ、健康的な習慣はさらに重要になります。そうした土台があってこそ、感情を整理し、仕事探しをする準備が整うのです。
ギルバート氏は、睡眠・食事・運動の大切さに加えて、「自分が何を必要としているかを知ること」が鍵だと話します。
「夜にゆったりとお風呂に浸かることかもしれないし、森の中を歩くこと、日記をつけること、あるいは全く違うことかもしれません。『今、この瞬間の私は何を必要としている?』と自分に問いかけてみてください」
そして、その答えが見つかったら——それを実行しましょう。
またアブラハミ氏は、「神経系の安定化」を、失業後の回復への第一歩と位置づけています。その一環として、LinkedInの利用時間に境界線を設けることも含まれています。
解決モード”に入るのではなく、「前職で何を学び、これから何を望んでいるのか」をじっくり考える時間を取ることが大切です。日記を書いたり、コーチングを受けたり、信頼できる友人と話すことが助けになります。
そして最後に必要なのが「自己肯定」。
「あなたの価値は肩書きで決まるものではありません」とアブラハミ氏は強調します。
「もし友人が同じ状況だったら、どんな言葉をかけるか?それと同じように、自分に優しく語りかけてください。あなたにはスキルも価値もあり、これは一時的な“季節”であって、あなたという人を定義するものではありません。」
