うつを「治療する」シンプルな運動習慣:セラピー並みの効果も

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運動がもたらすメンタルヘルス改善 — いつものアクティビティで“こころの癒し”を
うつの波が押し寄せてきたとき、「運動なんて今さら…」と思うかもしれません。でも、最新の研究では、ウォーキング・ジョギング・ヨガ・筋力トレーニングなど様々な運動が、うつ治療としてセラピー(心理療法)と同等の効果を持つ可能性が示されています。
特に、米国では成人の10 ~ 25 %がうつに関わる何らかの症状を経験するとされており、借金・離婚・糖尿病よりも「幸福感」を損なうという指摘もあります。
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運動がうつ改善に効くというエビデンス
- 英国誌 BMJ に発表された ネットワーク・メタ分析(無作為化比較試験218件・14 000人以上対象)では、運動療法がうつ治療の有効な選択肢であることが示されました。
- 国内でも、東京都医学総合研究所などによるレビューで「有酸素運動、ヨガ、筋力トレーニングが特に有効」という報告があります。
- また、働く人のメンタルヘルス改善の現場でもウォーキングや身体活動を習慣にすることでストレス軽減・うつ傾向の改善が見られるという報告があります。
どんな運動が効果的?/どんなやり方でもいい?
効果が特に高かった運動の種類
- ウォーキングまたはジョギング、ヨガ、筋力トレーニングが特に効果が高いとされており、強度がやや高めの運動ほど改善効果が大きいという傾向があります。
- ただし「どれほどの回数や期間が必要か」「どれだけ強度を上げればいいか」は、まだ明確なガイドラインが確立されていないという報告もあります。
“どんな運動”でも“全く運動しない”よりは良い
- 研究では「どれだけ運動したか(回数・分数)はそれほど影響しなかった」「重要なのは“何もしない”よりは動くこと」だという指摘があります。
- つまり、まずは“少し動く習慣”を持つことが鍵です。ハードに始める必要はありません。

運動がうつに効くメカニズム(簡略版)
- 運動により、脳内の神経伝達物質(例:セロトニン、ドーパミン)やホルモン(エンドルフィンなど)が活性化され、気分改善・ストレス軽減につながるという研究があります。
- また、身体を動かすことで「無力感・孤立感」から抜け出しやすくなり、自己効力感(「自分でも動ける」)の回復にも役立つと考えられています。
- 身体的活動は睡眠の質向上・社会的交流促進・日中のリズム改善など、複数の経路からメンタルに良い影響を与える可能性があります。
実践のポイント:続けやすくするために
- 習慣化を目的に:例えば「毎朝10分ウォーキング」「週3回ヨガ」など、まず“できそうな量”から始めましょう。
- 楽しさを優先:好きな音楽を聴きながらウォーキング、友人と一緒に散歩、ヨガや太極拳を体験… 楽しめる形式の方が継続しやすいです。
- 強度を少しだけ上げると◎:軽めの運動でも効果はありますが、少しチャレンジを含めることでより良い効果が期待されます。
- サポートを活用:運動グループに参加、トレーナーを頼る、あるいは家族・友人と一緒に行うことでモチベーション維持に役立ちます。
- 無理はしないで:うつのときは動き出すのも大変です。始めから過度な負荷をかけず、体調・気分に合わせて調整しましょう。
注意点と限界
- 運動だけで“薬を完全に不要”と考えるのは危険です。うつの程度によっては、薬物療法・心理療法との併用が必要です。
- 研究には「バイアスの可能性」「運動内容・期間・強度の統一性が低い」などの課題があり、すべての人に同じ効果が出るわけではありません。
- 身体的な健康状態、既往症、怪我・疾患の有無などから、安全に運動を始めるために医師・専門家に相談することが推奨されます。
- 継続が困難な場合、低強度・短時間の運動でも“まったく動かない”よりは価値があります。
- そして、「今日は無理かも」と思った日こそ、自分を責めずに休むことも大切です
Hummingからー
どんなに小さな一歩でも、それは前進です。
“動けない日があっても大丈夫。”
心が疲れたときこそ、自分を責めるのではなく、優しく包んであげてください。もし外に出られない日があっても、窓を開けて深呼吸をしてみる。 体を少し伸ばしてみる。 その「小さな動き」こそが、心の回復の始まりです。Hummingは、みなさんが自分のペースで心と体を整えていけるように寄り添いながら、日々の暮らしに優しい風を届けていきます。