僕がアフリカから初めて日本に帰ってきた2015年、僕は日本で『物凄い違和感』や『嘘やろ?』といった感覚がありました。
それは日本に住む多くのお母さんの発言です。
僕が住んでいたアフリカのタンザニアのブンジュ村では、道を歩いていると、
『SHOGEN!聞いて!私、主婦!2人子ども育ててる!!すごいやろー!?』
と自信満々な顔でお母さんたちが僕に言ってきます。
確かに子どもを育てるってすごいことですよね!
しかし、日本だったらどうでしょう?
『私、子育てしかしてないんで。』
という人があまりにも多くないでしょうか?
もし、この発言をブンジュ村でしてしまうと、70歳の村長から呼び出されて3時間くらい説教をされます。
そのときに村長は必ずこう聞いてくれます。
『その発言は誰にとって失礼だと思う?自分の心の中にある魂に失礼な発言をしてはいけないよ。本当にそうなってもいいの?生きていくうえで大切なことは自分を愛してあげること。そして、自分が一番の自分のファンであることだよ。』
お母さんを含め、多くの日本の大人たちが、自分自身を認めてあげれなかったり愛せていないように思います。
僕も『自分なんか、、、』というマイナスな発言を村でしてしまい、村長に叱られたことがありました。
その時に村長から教えてもらったのは自分の愛し方、自己肯定感の高め方でした。
『SHOGEN、日常の中でなにげなくやっている自分の所作や、仕草、動作をいちいち愛おしく思うんだよ。例えば、水を手のひらですくうときや、息を吐くときの自分、息を吸うときの自分の仕草って、なんて美しくて、なんて素敵で、なんて愛おしいんだろう。とか、朝起きて外に出る時に踏み出す一歩目の左足のつま先が地面を踏む感触までも愛してみるんだよ。その1つひとつの、今までなにげなくやっていた日常の中で行う所作や仕草を愛してあげるという積み重ねが、自己愛を育てるんだよ。』
そう言われた僕は、今までいかに自分を大切に思ってあげれていなかったかに気づくことができました。
- 皆さんは、自分のことを大切にできていますか?
- 自分を愛してあげる時間を作れていますか?
そして、もう一つの大切なことは【自分の心の中に少しの余裕を持つこと】だと村長が教えてくれました。
『余裕がないと、【日常に溢れる小さな喜び】を見落としてしまうんだよ。SHOGENは日常の中で空を見上げる時間をつくってる?空を見上げるくらいの余裕が心の中にあったら、自分のなにげない仕草に目を向けてあげれたり、自分を愛してあげる時間をちゃんとつくれるし、日常に溢れる小さな喜びも拾い上げれるんだよ。』
そのように僕は言われました。
気がつくと、ものすごく忙しく慌ただしい社会の渦に巻き込まれて、はっ!とする瞬間がよくあります。
「効率よく、無駄を省いて」と言われる時代ではありますが、「自分を愛する時間」まで省いてはいませんか?
【自分が一番の自分のファンでいてあげる】
そうすることで、大切な周りの人にも当たり前に愛を注げるようになるんだよ、と村長が僕に教えてくれました。
●皆さんは今日は自分のどの仕草や行動を愛してあげましたか?
●今日1日の中で、どのくらい空を見上げましたか?
ライター:プロフィール
– アフリカンペイントアーティストSHOGEN(ショウゲン)-
タンザニアの小さな村で描かれるティンガティンガというペンキアートに心惹かれ、
日本での生活を捨て、なんの伝手もないまま単身アフリカへ・・・
現地で生活をしながらキャンバスだけなく、警察車両やホテル内の壁画に描くなど、
動物と子供を共存させた作風で独自の表現を追及する。
ティンガティンガ創始者Edward Saidi Tingatingaがおこなっていた“人々を幸せにする絵”への到達を目指す。
日本に制作の場を移した後は、キャンパスだけにとらわれない多方面での活躍を続けている。
生きる喜びを描くペンキ画家