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30代でようやく見つけた“性への自信”

Written by
條川純 (じょうかわ じゅん)

 

17歳で処女を失ったけれど、理想とは程遠い日々だった。
昔からよくある話。男の子が女の子にちょっかいを出し、女の子は彼の魅力に惹かれるけれど、男の子は彼女の体だけを欲しがる。

 

あの頃の私は世間知らずで経験不足で、男性が女性をセックスのためにあやつれるだなんて知らなかった。セックスは合意の上。でも、その後に何かあると思っていた。デート中に2人で話しができるかもしれないと思ったけれど、彼が残していったのはSNS上のスクリーンネームとメールアドレスだけ。電話番号すら残してくれない男の子だった。

 

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20代を通してセックスに抱いた不安と誤解

 

腹立たしく聞こえるかもしれないけれど、今となっては優しい心で振り返ることができる。でも、あの出来事は20代を通して私の性体験を不安と失敗で決定づけたのです。

 

私はセックスを、道具として関係を深めるものではなく、むしろ交渉の道具として見ていたんです。20代の男の子とのやり取りではいつもセックスをしたいという彼らの願望を感じ、私が異性と関わる時の行動にはその願望に一致するべきという気持ちが反映されていました。

 

「見た目が良い女の子ではない」と感じながら育った私にとって、セックスは私が女性として求められていると感じられる唯一の時間。

 

でもほとんど知らない男の子と裸でベッドにいるのは決して心地よく感じられなかった。しかも、ベットの上で女の子を気持ちよくさせるやり方が分からない男の子と寝るのは、大惨事でした。すぐに私は流れに身を任せ、彼の望むことをするという考えに慣れてしまった。その方が簡単だと感じたから。

 

“20代は失敗や義務感に縛られたセックス体験を通じて自分を見失ったが、30代になり自己理解と自己肯定感を深めたことで、自分を優先しセックスを楽しめるようになった。”

 

私はいつもみんなに、20代は失敗しても大丈夫と伝えている。20代はそのためにあるもの。失敗から学べば、転んでも立ち上がれる、そんなぜいたくな時間。私は20代の大半はセックスを楽しんでいなかったけど、セックスの回数は多い方だった。セックスは趣味というよりは、義務のように感じていたんです。

 

大人になり「セックスを義務感でやっている」と認識できるほどに脳が発達した時、自分自身に問いかけるようになりました。「あなたは、ベッドで何をしたいの?」と。そうしたらすぐに自分を守る境界線ができて、男性のすべてのアプローチが良いとは限らないこと、そして、ャンスを逃したように感じても、立ち去ってもいいことをゆっくりと学んだんです。つまり、私は誰よりも自分の気持ちを優先するようになったのです。

 

30代に差し掛かり、自分を大切にするようになりました。運動量を増やし、健康的な食生活を送り、旅行にも行った。自信がセックスの喜びに繋がることを発見し、驚いた。自分の体型を受け入れられるようになり、20代の経験を通して自分の好き嫌いも理解できるようになりました。

 

 

信頼と自己尊重から始まる、大人のセックス

 

歳を重ねるにつれ、セックスをする相手も大人の男性になり、自分のニーズを最優先に考えてくれる人との付き合いがどんな感じかを学びました。大人になって初めて、セックスは信頼に基づくパートナーシップであり、コミュニケーションが鍵となることを知ったんです

 

“40代になった今、過去の経験から自分の心と体の望みを理解し、他人に合わせるのではなく自分を大切にしながらセックスを楽しむことを学んだ。”

 

パートナーとセックスについて話すのは、時にとても難しいもの。なぜなら、それはまさに自分が鍵をかけた扉の奥にしまい込んでいたものを傷つけることになるからです。簡単に心を開きたくないのは当然。ありのままの自分に優しく、そしてそんな自分を傷つけるような人は拒絶することが大切です。あなたはあなたの人生で一番大切な人であり、あなたを一番尊重してくれる人に心を開くべき。

 

40代に突入した今、過去の失敗から学んだおかげで、自分の心と体が何を求めているのか、これまで以上にはっきりと分かっている。そして、ベッドの中での自分の見ためや発する声をあまり気にしないようにしようと決めました。なぜなら、男性にとって、目の前の女性が自分と一緒に行為を楽しんでいる姿を見ることほどセクシーなものはないからです。他人の喜びのために生きるには人生は短すぎます。「ノー」と言って、あなたを大切にしてくれる人を待つのもいいのです。

ライター:プロフィール

インタビュー:條川純 (じょうかわじゅん)

日米両国で育った條川純は、インタビューでも独特の視点を披露する。彼女のモットーは、ハミングを通して、自分自身と他者への優しさと共感を広めること。


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