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【ハミングが届けるポジティブニュース】 身近な「米ぬか」がアメリカで大変身!木を切らずに家を彩る新素材とは?

Written by
堀江知子(ほりえ ともこ)

 

 

米ぬかが海外でも大活躍しているって知っていますか?

 

日本では昔から身近な存在で、健康や美容にも使われる米ぬかですが、実はアメリカで大量に捨てられていた米ぬかが、環境を守るための新しい建築資材として生まれ変わっているんです。

 

普段は気に留めない身近な素材が、世界を救う一歩になっている驚きのストーリーをぜひご覧ください。

 

 

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あの「米ぬか」が、海外で地球を救う素材に変身!

 

アメリカで毎年200億ポンド(約90万トン)ものお米が生産されている中、その外側を包む硬い「米ぬか(米殻)」は、これまで捨てられてきた大量の農業廃棄物でした。これが、ゴミの山になるだけでなく、環境への大きな負担になっていました。

 

そして今、最新技術でこの「米ぬか」を建築資材に再生利用する画期的なプロジェクトが進んでいます。アメリカの企業「Modern Mill」が開発した素材『ACRE(エーカー)』は、米ぬかをアップサイクルして作られた、まったく新しい外壁材です。

 

これがスゴイのは、単なるエコ素材なだけではなく、見た目も手触りも本物の木のように美しく、耐久性も抜群だということ。

 

 

“米ぬかを活用したエーカー素材は、デッキやフェンスなどにも使え、熱帯雨林伐採防止や廃棄物削減に貢献しながら、天然木のような強度と美しい色合いを持つ環境に優しい建材です。”

 

 

「木を切らずに、本物の木の美しさを」

 

このエーカーは、外壁以外にも、デッキやフェンスとして使えます。実際、積み荷1パレット分のエーカーを使えば、熱帯雨林の木材1エーカー分(1エーカーは約4,047平方メートルで、サッカー場より少し小さい区画分ほど)伐採を防げるという数字が出ています。2022年だけでも、44,000パレットがアメリカ中の住宅建築に使われ、約4,000トンの米ぬか廃棄物がゴミになるのを防いでいます。

 

日本人にとっては、身近な存在の米ぬかが海外でこんなに活躍しているなんて、なんだか嬉しいですね。

 

さらに、米ぬかの「リグニン」という木の主成分に似た成分のおかげで強度もあります。熱帯硬材のチーク(高級家具に使われる木)やアイペ(非常に硬く丈夫な熱帯の木)、そして杉のような上質な木材のような深みのある色合いも表現できるのは、自然素材ならではの魅力です。

 

 

価格も現実的で、火災に強い安心感

 

建築資材としての価格は、1平方フィートあたり10〜12米ドルほどで、無理なく導入できる範囲。しかも、カリフォルニア州の厳しい防火基準をクリアしているので、火災リスクの高い地域でも使える安全な素材です。

 

実際に、2025年に起きたカリフォルニアの大規模な山火事では、Modern Mill社は20世帯の被災者たちに無償でこのエーカーの外壁材を寄付し支援しました。企業として、環境貢献だけでなく、コミュニティの支援にも本気で取り組んでいるのです。

 

米ぬかは、ぬか床や入浴、肥料など、日本の暮らしに寄り添ってきた素材。素朴でありながら、体や環境にやさしい力を秘めています。いま世界でも注目される米ぬかを、私たちは昔から身近に使ってきました。その価値を改めて感じ、日々の暮らしに小さく取り入れてみるのもよいかもしれません。

 

 

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ライター:プロフィール

著者:堀江知子(ほりえともこ)|香港在住ライター

民放キー局にて、15年以上にわたりアメリカ文化や社会問題についての取材を行ってきた。

2025年からは香港に移住しフリーランスとして活動している。noteやTwitterのSNSや日本メディアを通じて、アフリカの情報や見解を独自の視点から発信中。

出版書籍:『40代からの人生が楽しくなる タンザニアのすごい思考法 Kindle版』。

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