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年を取ることは”老い”ではなく“更新”のチャンス|30代になって気づいたこと

Written by
花野みずき (はなの みずき)

 

 

大学生の頃といえば、若さに物を言わせて遊びたい盛り。

 

そして、その様子をみて、周りの大人たちが息を吐くように言っていた、

 

「そんな無茶できるのは若い時だけ」
「年取ったらすぐガタがくるんだから」
「体は資本、健康第一よ」

 

という言葉たち。

 

正直、当時の私は全然ピンときてませんでした。

 

なんせそのときの自分は、ちょっと無理したって1日経てばすぐ復活するし、風邪を引いてもしっかり食べてしっかり寝れば回復するわけですから。

 

まあそりゃ年を取ったらそれなりに体も衰えるだろうけど、そこまで言うのはちょっと大げさすぎないか?と疑心暗鬼になっていました。

 

でも、30代を幾ばくか経験した今、かつての大人たちの言葉の意味が痛いほど分かるようになってきたのです。

 

 

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30代を境に訪れる体の変化

 

ほんの少し夜更かししただけで、翌朝の顔はぼてっとむくんで化粧ノリも最悪。

 

昨日の自分と今日の自分は別人なのでは?と思うほど、全身のコンディションがガタ落ちする。

 

代謝も落ちているから、気をつけないとすぐ体がぷにぷにしはじめて、ボディラインが曖昧になる。

 

季節の変わり目ですぐ風邪を引いてしまうし、さらには必ずといっていいくらい毎回長引く。以前のように、ぐーすか寝ればスカッと治ることも激減しました。

 

学生時代の勢いでオールなんてしようものなら、翌日は屍(しかばね)になることが容易に想像できます。

 

30代は節目とはいえ、人生100年時代で考えればまだまだ若造なはずなのに、早くも激変していく自分の体に直面して、ようやくあの頃の大人たちの気持ちが身に染みて分かるようになりました。

 

はーーー曲がり角ってこういうことね!

 

そりゃ衝撃的すぎて、自分たちよりまだ若い人たちに声高に伝えたくなるわ、今から備えておけよと。

 

「体が資本」という言葉は脅しでも誇張でもなく、リアルな実感からくる親切な助言だったのだとやっと気づきました。

 

 

“年齢を重ねることは老いではなく意識や価値観のアップデートであり、食やお酒との付き合い方など日常の選択もより心地よい方向へと変化している。”

 

 

年齢による変化は老いではなく、アップデート

 

かといって、自分に訪れる老いを前に、ただ悲嘆に暮れるだけでは面白くありません。

 

年を重ねてできなくなったこともあれば、できるようになったことも絶対ある。物事は捉え方次第ですよね。

 

そういう意味では30代に入って、いろんな意識がアップデートされた気がしています。

 

例えば「食」。

 

 

 

 

学生の頃は「安くてお腹が膨れる」が正義で、特に私はお酒をよく飲むタイプだったので、飲み放題があるお店はいつだって最高の選択肢でした。

 

でも今は「美味しいものを、必要な分だけ、気持ちよく食べたい」という気持ちにシフトしています。

 

かつては「せっかくの外食だから、思う存分飲むぞ!」と意気込んでいましたが、最近は「よく考えたらそんなに飲まなくていいかも」と素直に感じることも増えました。

 

最初こそ帰り道では少し物足りない気持ちもしていましたが、だんだん慣れてくると、翌日にも残らないし「ほろ酔い」ってなんて素晴らしいんだ!と思うようになってきました。

 

でも別に、制限をしているわけではないんです。

 

シンプルに「今の自分が必要な分だけ」を守っているだけ。

 

だから、裏を返せば「今日はもう羽目を外して、めちゃくちゃ飲みたい!」と思ったなら、その日は一切我慢しません。

 

一緒に飲みに出た友だちを深夜まで連れまわすし、翌日は二日酔いで丸一日無駄にして後悔するというのを、学習することなく未だに繰り返すこともよくあります。

 

旅先ではお腹パンパンになるまで、お金も労力も惜しまず全力でご当地グルメを味わうし、それで胃もたれしても「まあええか」と思える。

 

いくつになったから、このくらいの量にセーブするとか、もしくは、良いものを食べて舌を肥やすのが年相応とか、そういうことはあまり気にしていなくて、シンプルに30年分のデータから導いた「マイベスト」に従う。

 

そこを一番大事にしています。

 

今、自分の体に必要なものは、ちゃんと自分が一番分かっているので。

 

その声を素直に聞き取れるようになったのも、年齢を重ねたからこその変化かもしれません。

 

 

“運動を「義務」ではなく「気分をリフレッシュしてくれるもの」と捉えられるようになり、自然と日常に取り入れるようになった。”

 

 

さらに、運動についても考え方が大きく変わりました。

 

私はもっぱら文化系人間なので、運動にはなじみがなく、「健康のためにやらなきゃいけないもの」という義務感でしかなく、正直、昔から苦手意識しかありませんでした。

 

運動は疲れるもの、でも将来のためにしぶしぶやるって感じ。

 

でも今は、運動で気持ちいい汗をかくという感覚が分かるようになってきました。

 

体を動かす機会そのものが激減した影響も大きいのかもしれませんが、デスクワーク続きでどこか身も心もどんより疲れているときこそ、ちょっと動いてみる。

 

サクッと5分だけストレッチしたり、コーヒーを買いに行きがてら早歩きで散歩してみたりするだけでも、なんかちょっと血が巡って気分もリセットされる。

 

運動は疲れるものではなく、むしろリフレッシュしてくれるというのが少しずつ分かってきました。

 

なので、通勤をウォーキング時間にしてみたり、宅トレやストレッチ、ヨガをやってたりと、昔の自分が見たら信じられないくらい自発的に運動を取り入れるようになりました。

 

といいつつ、実はどれもイマイチ続かなくて、ちょっと落ち込むこともあるけど…

 

でも、それも単に今の自分の気分やスタイルに合わなくなっただけと切り替えて、「じゃあ次は何を試してみようかな」と、試行錯誤すること自体も楽しめるようになっています。

 

ちょうど最近は、ずっと気になっていたピラティスのパーソナルレッスンに通い始めたところで。

 

みっちりじっくり1時間、誰かと一緒に自分の体に向き合えるのが新鮮で、ちょっと楽しいかもと思えてきています。

 

まだ習慣にはなっていないけれど、運動の意味付けが「義務感でやる」から「心地よさのため」へと変わってきたことは、自分にとって大きな発見でした

 

 

 

 

体が衰えても、心は軽やかでありたい

 

こうして振り返ると、変わったのは食べ物や運動に対する考え方だけではありません。

 

体の変化と向き合う中で、これまでの生活や世界がちょっと違うふうに見えてきて。

 

それなら、今まで自分の領域とは違う、世界線が違うと思っていたことも、最初からシャッターを下ろすのではなく一回は覗いてみてもいいのかもと思えるようになってきたんです。

 

で、実際、一歩踏み出してみたら意外と楽しかった、性に合うかもと思えた経験も増えてきました。

 

例えば、これまで「YouTuberなんて自分とは別世界」と思っていましたが、たまたま仕事で機会があって、気づけばYouTubeチャンネルを開設して自分で動画編集までして、チャンネルもそれなりに育っています。

 

あとは推し活。

 

ちょっと前まではむしろ理解できない派だったのに、今や推しが2人もいて、追っかけるのに身も心も忙しい状態です。

 

他にも、昔から歴史が好きだからというだけで世界遺産検定を受けてみたり、声が小さいのを克服したくてボイトレも始めてみたりと、我ながら30代入りたてにしては、まあまあいろんなことを試せている気がします。

 

しかもこういうことをきっかけに、また新しい世界が広がっていくことも知りました。

 

ボイトレの先生から仕事を紹介してもらったり、推しの雑談から新しいアーティストを知ったり、自分にはなかった考え方を知れて少し生きやすくなったり。

 

きっと他にもまだまだ、私が「苦手」「興味ない」「向いてない」って思い込んでることがあるんだろうな。

 

だからこそ、意識してオープンでいる。
拒絶せず、まずはちょっとだけでも試してみる。

 

そんな姿勢でいれば、体が衰えても、少なくとも心はいつまでも若々しくいられるんじゃないかなと感じています。

 

 

年齢を重ねることは“更新”のチャンス

 

年を重ねるうちに、いろんなものや人、環境を知っていく、触れていくからこそ、自分のなかの無意識の固定観念にも気づける。

 

だとしたら、年を重ねることは、柔軟に自分を更新していけるチャンスがあるということではないでしょうか。

 

単に「老い」と捉えてしまうと、可能性は狭まる一方に感じてしまいますが、むしろ自分らしさを深められる「チャンス」だと思うと、なんだか途端に前向きな気持ちになってきます。

 

実はこれを書いている今もちょうど誕生日を迎えたところなので、この一年は何をしようか、何を削ぎ落して、どんな新しいことに出会えるだろうかと、また一つレベルアップする気持ちでワクワクしています。

 

もちろん、大人たちが言っていた「健康第一」という言葉も胸に刻みつつ、「自分にとって心地よいもの」を見つけるアンテナをアップデートしていきたいと思います。

 

 

ライター:プロフィール

とにかく「言語化」することを軸に、自身のnoteを中心に活動するライター。
心や頭に浮かぶ漠然とした不安やモヤモヤも「言語化」にできると少し落ち着く。目まぐるしく変化する時代でも、地に足をつけていられるよう「ことば」でその道を照らしたい。


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