年齢や体型、社会の目。美しさにまつわるプレッシャーは、知らず知らずのうちに心と身体を縛っています。
だけど本当は、誰もが自分らしい美しさを持っているはず。
編集部の舞麻と純が、それぞれの視点で「美と身体」について語り合いました。
美しさはもっと多様でいい
純:今回は「美と身体」についてお話ししたいと思います。このテーマは、Hummingの中でも私が特に強い思いを持っているカテゴリーです。
私は12歳から16歳まで日本で暮らしていました。その時期は思春期の真っただ中だったこともあり、体型の変化にとても敏感でした。太ったり痩せたりを繰り返し、自分の体に自信が持てなかったんです。まわりにはスラッとした子が多く、余計にコンプレックスを感じていました。
日本では特に「痩せていること=美しい」という価値観が強く、ガリガリに細い体が称賛されることすらあります。それがアメリカで育ってきた私にはとても不思議で、衝撃的でした。
だからこそ、「体型によって人の価値を決めるような考え方」は、少しずつでも手放していけたらと思っています。
舞麻:確かに、昔はケイト・モスとか、パリス・ヒルトンが人気で、痩せている体型に憧れる人が多かったよね。でも最近は、「ハリのある肌」や「引き締まった身体」などが注目されるようになって、いわゆる「健康美」を目指す女性も増えてきた気がします。
純:舞麻さんが「美と身体」をHummingのカテゴリーに選んだのはどうしてですか?
舞麻:ヨーロッパやアメリカでの暮らしを経験して感じたのは、美しさはもっと多様だということ。
最近では外国人も増えてはいるけれど、日本はまだ日本人が大多数の社会なので、美しさの基準もどうしても似たような基準で比べられがちだと感じていて。
日本基準の美しさだけでなく、もっと広い視点で「美」を見つめ直したいと思いました。
それに年齢を重ねると、身体との向き合い方も少しずつ変わってきますよね。私自身、プレ更年期といわれる年齢に入り、食事や運動だけでなく、「どんな景色を見るか」「誰と過ごすか」といった、心に触れるものもすべてが身体に影響すると実感しています。
だからこそ、これからは見た目だけではない、美しさや健やかさについて、読者のみなさんと一緒に考えていきたいです。
心が整えば、鏡に映る自分も変わる
純:舞麻さんはどんな人に魅力を感じますか?
舞麻:私が魅力的だと感じるのは、外見が整っている人です。整っているというのは、いわゆる美女という意味ではなくて、清潔感があって、服装や立ち居振る舞いがきちんとしていて、「その人らしさ」がにじみ出ている人のことです。
あとは、純粋で人に対して優しさを散りばめられる人や、人生を活き活きと楽しんで、いろんなことに興味を持ってる人、自分のことも人のことも大事にできている人に魅力を感じます。
そういった人に出会うと、「もっと話してみたいな」とか、「また会いたいな」と、自然と思えます。
純:「美」というと、ついメイクや髪型、服装など、見た目ばかりに目が向きがち。でも、内側を整えることも大切ですよね。
私は30代になってようやく、食事や運動を意識するようになりました。年を重ねても元気に動けるように、筋肉をつけたいと思って。
高校生のころはガリガリの体型に憧れていたけれど、今は、人それぞれ生まれ持った骨格があるから、それ以上に細くなるのはむしろ不健康だと思っています。私は背が低く、脚も短く、おしりもしっかりしていますが、「これが私の骨格なんだ」と、ようやく受け入れられるようになりました。
舞麻:私はヒップにボリュームがないから、丸みのある体型の女性を見ると、すごくセクシーで魅力的に感じます。でも、そういう体型の人はジーンズがきつかったり、人目が気になったりするのかもしれないけど。
純:そうなんです!ジーンズを履いてる自分が、好きになれなくて。でも、今は「健康的なご飯を食べて、運動もして、私はこの身体で頑張ってる。これで十分!」と、自分に言い聞かせています。
舞麻:私の好きな本に『水は答えを知っている』という一冊があって、その本には、水は言葉や音に反応すると書かれています。たとえば、優しい言葉やクラシック音楽を聞かせると、水は綺麗な六角形の結晶をつくる。一方で、ネガティブな言葉を聞かせると、うまく結晶ができなかったり、歪な形になったりするそうです。私たちの体の約60%は水分なので、どんな言葉を使うか、どんな言葉を浴びるかで、心にも身体にも影響があるはず。
だから、純が自分に優しい言葉をかけているのは、本当に良いことだと思うし、私も子どもにはできるだけポジティブな言葉で話すようにしています。
純:ポジティブな言葉は、子どもの自信にもつながりますよね。
私は母から厳しい言葉をかけられることが多く、自信が持てるようになるまで時間がかかりました。でも、決して母を責めているわけではなくて、20代は誰でも自分の身体や心に迷う時期。そういう揺らぎも、大人になるプロセスのひとつだったのかなと思います。
舞麻:子どもを産んで感じるのは、どんなにポジティブに子育てをしようと思っても、完璧な子育てなんてできないということ。きっと子どもの心の中には、何かしらのささくれだった気持ちや、「これは嫌だったな」と思う経験があると思うんです。
私も、母親にされて嫌だったことがたくさんあるし、それがしばらくトラウマとして残っていたこともあります。でも、30代になってからは、いつまでも親のせいにして生きていくのは違うと思うようになりました。
ネガティブな感情は体に蓄積されてしまうから、負の感情をどれだけ上手に手放せるかが大切。過去に誰かからされたことも、最終的には自分の責任として受け止めていく。そんな覚悟や、前に進むための「ガッツ」が必要だと思います。
純:私は、発する言葉や心の持ちようも美しさに関係すると思っています。だって、悩んでいたり、イライラしたりしていると、肌も荒れるし、げっそりと疲れた顔になってくるから。「私は大丈夫。頑張ろう!」とポジティブな気持ちだと、肌にもハリが出てくる気がします。
だからこそ、ストレスを感じる時も、落ち込む時もあるけれど、なるべくネガティブな感情に浸りすぎないように意識しています。
舞麻:脳の力は本当に偉大だから、ネガティブな感情をため込まないことは本当に大切。そのためにも、信頼できる友人やパートナーなど、話せる相手がいることがとても重要だと思っています。私はカウンセリングやセラピーを利用することもあります。身近な人だと、どうしてもその人の価値観や考え方が影響してしまうので、お金はかかるけれど、偏りなく話を聞いてくれるプロの存在は貴重です。
「きれい」は誰のため? 自分と大切な人を思いやる身体づくりを
純:「美と身体」について私がいちばん伝えたいのは、「きれい」の基準は人それぞれだということ。そして、美しくなることで誰を喜ばせたいのかを考えてみてほしいです。
私は、自分のためにきれいでいたい。自分の身体を好きになるほど、人生が明るく、楽しくなると思うからです。もちろん、自分だけでなく、大切な人のためにも美しく、健康でありたいですね。
Humming編集長 永野 舞麻
1984年生まれ。16歳までを日本で過ごした後、海外へ移住。大学で出会ったアメリカ人の夫と結婚し、現在はカリフォルニア在住。3児の母。 高校時代、スイスに住んでいたときに自然の偉大さに触れ、地球環境保全について学び始める。アメリカの美術大学でテキスタイル科を専攻。 今でも古い着物の生地などを使って、子育ての合間に作品を制作し続けている。 |
Humming編集部Project Coordinator 條川純
1984年生まれ。アメリカ生まれ、アメリカ育ち。現在はひとり暮らしをしながら、生涯を共に過ごせるパートナーを探している。 |
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ライター:プロフィール

1987年東京生まれ。
大学卒業後、損害保険会社の営業事務を6年間経験。
その後、夫の海外赴任に帯同するため退職し、1年間インド・ムンバイにて海外生活をおくる。
帰国後は、「おうちで働く」を一つの軸に、ベビーマッサージの先生、Webデザインの勉強、物販のお手伝い、ブログ運営、様々なことに挑戦しながら、最終的に「ライター」の仕事に巡り逢う。
興味のある分野は、人の働き方・生き方、マインドフルネス、教育。推しはBE:FIRST。プライベートでは2児の母。