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運動嫌いの私が「運動はメンタルにいい」を少しずつ信じはじめた話

 

突然ですが、皆さんは体を動かすことは好きですか?

 

“適度な運動習慣”、ついてますか?

 

運動はしたほうがいい、それはおそらく誰もが同意することでしょう。

 

運動したほうがいいなんて、百も承知

 

かく言う私は、圧倒的インドア派。できるだけ外に出たくないし、体も動かしたくない派です。

 

一方、世の中では一時期こんな言葉まで流行りました。

 

「筋肉は裏切らない」

 

なんてキャッチーでインパクトのある言葉なのでしょう。

 

“裏切らない”の解釈にはいろいろありますが、個人的に私がよく目にする文脈は「メンタルを強くしたいなら、運動をしろ」、そういった類のものです。

 

近年、うつ病とかメンタルに関する注目が高まっているからか、皆さんも一度はそんなニュアンスの話を聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

特にコロナ禍をきっかけに、運動は精神衛生を保つ上でも重要という意識は、急速に広まったように感じます。

 

私自身、すぐ考え事がぐるぐる頭をめぐるメンタル弱めなタイプで、まさにコロナ禍真っ最中に抑うつ状態に陥った経験があります。

 

そんなとき、心療内科の先生に言われたことがあります。

 

「少しずつでいいので、外に出て歩いたり運動してみてください」と。

 

そして心の中でこう思いました。

 

「そんな気力があったら、そもそもこんな状態になってない」と。

 

それからしばらく月日が経ち、うつっぽさからもなんだかんだ抜け出せたころ、今度は友達との何気ない会話で「やっぱり考え事が止まらない」という話になりました。

 

その友達は私の気持ちを汲んではくれつつも、同じタイプではないからか、

 

最終的にはなぜか「まあもっと体動かしてみたら?運動すれば考え事とか飛んでくよ」と言ってきたんです。

 

そして心の中でこう思いました。

 

「え…?なんでそこに着地するわけ?そういう話じゃなくない?」と。

 

そしてまたある日、別の友達とデスクワークで体がガチガチ、なんだかやる気もでないという話になりました。

 

その友達も同じくらいデスクワークで体がガチガチだったのですが、私のような運動嫌いではありませんでした。

 

もう皆さんお分かりですよね。

 

そう、「ガタがきはじめたのかな~」なんて笑い飛ばされるはずだった他愛もない雑談は、

 

「あんたはもっと運動しな」という、友達の口から放たれた鋭い言葉でバッサリいかれたのです。

 

そして私は、心の中で思いっきり毒づきました。

 

「もー!どいつもこいつも、運動運動うるさ~い!」と。

 

 

運動に絡めて話を終えなきゃいけないゲームでもしているのかと疑うくらい、みんな口を揃えて運動しろと言ってくる気がして、ほとほと嫌気がさしていたんです。

 

運動したほうがいいなんて、百も承知。

 

でもメンタルが落ちているからそもそも動く気にもなれないし、考えすぎの根本的な解決策が運動なわけないし、

 

凝りまくった体ではちょっとしたストレッチでもすぐ疲れるし、何より続かない自分にまたメンタルが下がるし…。

 

と、今思えば、壮大な負のスパイラルに陥っていたのかもしれません。

 

「筋肉は裏切らない」とまではいかずとも…

 

それがおかしなことに、運動嫌いだったはずの私が、どうやら最近少し「そっち側」に近づいている気がするのです。

 

体を動かすと本当にメンタルも上向くのかもしれない、と身をもって実感しはじめているのです。

 

すべてのはじまりは”自転車通勤” 

 

一番のきっかけは、転職して自転車通勤になったことでした。

 

新しい職場は、電車で通うにも歩くにも中途半端な場所にあり、一番理にかなった通勤方法が自転車だったのです。

 

ただそれだけなのですが、今思えばこれが大きなターニングポイントでした。

 

会社までは自転車で約20分という、これも運動不足な人間にはちょうどいい距離で、ほんのり汗ばむけれど疲れ切って仕事にならないというほどではない。

 

だからこそ、深く考えることもなく毎日淡々と続けられました。

 

あえて意識するというわけではありませんでしたが、心のどこかで「今の私は、日々最低限体を動かしている」という達成感というか充足感というか…そんなものを毎日感じていた気がします。

 

しかもちょうど川沿いを走る経路だったので、開けた景色を眺めながら、微妙に変化する木々や川の香りも感じて、毎日気分がリフレッシュされていました。

 

そのおかげか、それまではおぼろ豆腐のようにすぐ崩れていたメンタルも、木綿豆腐くらいにはなってきた気がするのです。

 

自転車通勤が板につきペダルを漕ぐ足も軽やかになってくると、だんだんこの運動量では物足りなくなってきました。

 

しかもメンタルが少し上向いているからか「何かもうちょっと運動できる気がする!」と、なんとYouTube動画を活用して自宅で運動する、いわゆる「宅トレ」まではじめたのです。

 

帰宅後、仕事着を脱ぎ捨てながら動画を選び、そのまま15~20分程度汗をかく。

 

そんな日々の達成感は自転車通勤の比ではありません。

 

毎晩「ふ~~今日も動いた動いた~!」と満足感と心地よい疲れを感じながら、布団に潜り込む気持ちよさを初めて知った気がします。

 

 

じわじわ実感する“運動とメンタル”の関係

 

少しずつ運動が習慣化しつつも、まだベースには運動嫌いが残っているので、よく怠けたくなるのも事実。

 

ましてや仕事でモヤモヤした日や疲れて元気がない日は、余計運動なんてする気分になれません。

 

とはいえ、人生初というくらい続きはじめた運動習慣を途絶えさせるのも癪なので、しぶしぶ2分くらいのトレーニング動画を探し出して、とりあえず動いてみます。

 

すると、さっきまでのどんよりした気持ちはどこへやら。ささくれ立っていた気持ちがだんだん和らいでいくんです。

 

「何をそんなむくれてたんだ?」と思いはじめ、さらには「もうどうでもいいや、それよりもっと汗かきたい!」と、前向きな気持ちすら湧いてそのままトレーニング続行。

 

「運動しろ」と言われるたびに突っかかっていた人間が、奇跡みたいな話です。

 

こういう経験を何度かして以来、ようにしています。

 

仕事中、何かイライラすることがあったときや、周りと比較して自己嫌悪に陥ったとき、ふと漠然とした不安を感じたとき。

 

黒いものに自分が飲み込まれかけていると気づいたら、とりあえず一旦立ち上がってみます。

 

実は、そのまま身を任せて闇に飲まれるほうが楽なんだけど、ちょっとだけ踏ん張ってとどまる。

 

それはウォーキングやストレッチなどTHE運動でなくても、トイレに行くとか、ベランダへ出て外を眺めるとか、やり残した食器洗いをするとか。

 

んです。

 

個人的に負のスパイラルに入るときって、ずっと同じ体勢でいたり、同じ景色ばかり見ていたり、”何かが停滞している”ことが多い気がします。

 

動けば体の血が巡りはじめて、連動するように停滞していた気分も軽やかに巡る。

動けば目線や見える景色が変わって、閉じこもりかけていた気分も少し開ける。

 

動くことで問題そのものが解決するわけではありません。

 

でもは生まれると思うんです。

 

私にとって運動とメンタルの関係はそんな感じで、根本から働きかけてくれるというより、スタート地点に立つのを優しくサポートしてくれる感じです。

 

「筋肉は裏切らない」とまでは未だに思えないものの、動くことでマインドセットも変わるということは、こんなふうにじわじわ実感しはじめています。

 

運動嫌いが運動を習慣化できた理由

 

その後、諸事情で自転車通勤が難しくなったので、最近は通勤を片道ウォーキングで置き換えて運動量をキープしています。

 

意外と体力もついてきたのか、もう少し慣れたら往復徒歩でもいけそうだなとまで思っています。

 

少し前の私がみたら顎が外れるくらいの運動量なのですが、そもそもなぜ、運動嫌いが急に運動を習慣化できたのか?

 

正直、なんとなく思い付いてはじめて、気づいたら徐々に定着していたというのが本音ではあるのですが…

 

よーく思い返すと、それらしきポイントが見えてきたのでシェアしてみます。

 

“自分の意思”ではじめたから

 

なんとなくの思い付きとはいえ一つだけ確かなのは、誰かに言われたからでも、心療内科の先生や友達の言葉が蘇ったからでもなく、”自分で”思い至ってスタートを切ったということです。

 

この”自分の意思”ではじめたという事実は、全ての下支えになっている気がします。

 

たぶん、いつもの癖で考え事をしていた際に、たまたま「まあそりゃあ、健康なほうがいいよな」ということから派生して、

 

「運動は疲れるけど、かといって、このガチガチの体のまま何十年も生きていくのもしんどいよな」なんてことが頭によぎったんだと思います。

 

体を動かしたほうがいいという言葉の真意が、自分のなかでようやく腑に落ちた。

心にまとわりついていた変な鎖や重りがやっと外れた。

 

何年も鉛のように重く沈んでいた腰が、急にぷか~っと水面に浮かんでこれたのは、この”納得感”が肝だと思います。

 

“生活に馴染む運動”しかやらないから

 

私の場合、自転車通勤が最初のステップでしたが、これをより汎用性高く変換すると、、これに尽きると思います。

 

この”馴染む”というのは、おそらく一般的なイメージよりも徹底したものです。

 

たとえば、よく自宅や職場に近いジムだと続きやすいと言われますが、私からすればそれはただ「今の生活の近くに”存在している”」だけ。

 

実際に通うなら月謝制?回数券?それに何曜の何時に行く?その日は家事をいつやる?買い出しは?子どもたちのお迎えは?

 

考えること、変えることだらけです。

 

通勤経路を数歩それるだけで済む話ではなく、今の生活の流れを変えるという大きな壁がそこにあることに気づくはずです。

 

その点、。

 

自転車、徒歩、電車、タクシー、どんな手段であれ家には帰る、それならできる範囲で運動に置き換えてみる。

 

もちろん、完全リモートの人や仕事をしていない人でも置き換えはできます。

 

メールチェックだけは必ず立ってやるとか、考え事系のタスクはストレッチしながらやるとか。

 

スクワットのように少し腰を下げて掃除するとか、肩まで大きく使ってテーブルを拭くとか、すでにんです。

 

運動嫌いだからこそ、これくらい徹底的にハードルを下げないと続きません。

 

 

“トータルで考える”ようにしているから

 

実は、先ほど得意げに紹介した宅トレ最近かなりサボり気味なんです…。

 

でも、いいんです。その分、ウォーキングでしっかり動いているから。

 

ただ、そのウォーキングもサボって、普通に毎日電車で帰り続けた週もありました…。

 

でも、いいんです。その翌週からまた再開したから。

 

最近、運動に関する私のマインドは基本こんな感じです。

 

どの運動をしたかではなく1日でどのくらい動いたか、毎日ではなく月や年単位で見て続いているか。

 

なるべく大きく捉えて、トータルで考える

 

これくらいどっしり構えるようにしてから、少々サボる日が続いても必要以上に自分を責めることが減りました。

 

むしろ「いつもよく頑張ってるんだから」と、自分を労わってあげられるようになったかもしれません。

 

あと宅トレに関しては「通勤に比べたら生活に馴染まないから、当然と言えば当然だ!」なんて開き直ってみたり…

 

やっぱり運動はメンタルを強くしてくれるみたいです。

 

気が向いたら動けばいい

 

そうは言っても、まだまだメンタルが沈むことは当然あるし、気を抜くとすぐに「動かないほう」へ逃げてしまいます。

 

動けば心も軽くなると身をもって経験したのに、どうしてもうずくまってしまうことはある。

 

でも、そんな自分を責めず、また動きたくなったら動けばいい。

 

何にせよ大切なのは自分の気持ちということです。

 

元々運動嫌いなんですから、気が向いて小さなハードルを1つ飛び越えただけで表彰もの。

 

それくらい図々しくていいと思います。

 

私も気が向くまで、徒歩通勤を往復にしたり宅トレを再開したりもしません!笑

 

お互い焦らずゆっくり心身の健康を育みましょう。

「過去の記憶と向き合う:映画『You Were My First Boyfriend』が教えてくれたこと」

 

 

「痩せればもっと可愛くなれる。  

もっとおしゃれをすればみんなに好かれる。  

メイクを覚えれば男の子にモテる」  

 

こんな言葉に囲まれながら、私の自分の価値観は形作られていきました。金髪の綺麗なティーンエイジャーがたくさんいる学校で育った私にとって、自分のアジア人としてのアイデンティティは、自己肯定感を低くしていました。だからこそ、ドキュメンタリー映画『You Were My First Boyfriend』に深く共感しました。  

 

この映画は、監督セシリア・アルダロンゴが、主に白人の人々が住むフロリダで成長した経験を描いています。プエルトリコ系である彼女の文化や外見は、同級生からいじめの対象になりました。アルダロンゴは、いじめの理由を映画の中ではっきり語っていませんが、彼女が再現したトラウマ的な体験から、その孤立の原因が彼女の外見にあったことが伝わってきます。  

 

映画の中で、彼女は自分の10代の頃の写真を見せます。それが私自身を思い出させて胸を締め付けられるようでした。私もぽっちゃりしていて、黒い髪と小さな茶色い目をしていました。その隣には、輝くようなハチミツ色の金髪、鮮やかな青い目、スリムな体型の女の子たちが写っていました。彼女たちと比べることで、自分がどう見られているか、自分のことをどう感じているかが影響を受けていたことが、今ではよくわかります。

 

映画の中には、セシリアがトリ・エイモスのミュージックビデオを再現しながら、姉妹と共有する心のこもった瞬間があります。  

 

「いつも痩せてたのはあなただった」と、セシリアは痛みを含んだ声で言います。すると姉妹は涙ながらにこう返します。「でも、あなたの隣にいると私は普通に見えたのよ」  

 

このやり取りは、若い時の自分の見え方を見事に捉えています。10代の頃は、自分の見た目や好きな人が自分に気づいてくれるかどうかにばかり心を奪われていました。他の人も、同じように自信がなかったなんて考えもしませんでした。友達が自分より早く大人びていき、男の子たちに注目されているのを見て、いつも自分と比べていました。でも、今振り返ると、彼女たちもまた隠された不安を抱え、私を「地味な女の子」とは見ていなかったのかもしれません。  

 

 

私はいじめられたことがなく、親切な友達に恵まれていたことに感謝しています。それでも、この映画は、不安や辛い記憶がどれほど長く私たちの心に残るかを思い出させてくれます。  

 

映画はセシリアが高校の同窓会に出席する場面から始まります。会場に到着した彼女の緊張感がスクリーン越しにも伝わってきます。大勢の中を歩きながら、彼女は同級生たちから受けたひどい扱いについて語ります。しかし、その同級生たちはと言えば、そんな記憶はないと笑って答えています。彼女には、その瞬間が昨日のことのように鮮明に残っているのに、です。  

 

映画を通して彼女は問い続けます。なぜこれほどまでに過去の記憶が残っているのか?なぜこの痛みにとらわれてしまうのか?  

 

言葉の重みや感情の影響力を考えさせられる興味深いテーマです。私もまた、10代の頃に刻まれた記憶が残っています。サマーキャンプでドッジボールをしていたとき、ある男の子が「デブ」と叫びました。彼の顔も声も覚えていませんが、その時の恥ずかしさ、そして傷ついた感情は今でもはっきり覚えています。言葉はその場限りではなく、それが引き起こす感情によって永遠に心に残ることがあります。  

 

映画には、学校のキャンプでのシーンを再現する場面があります。セシリアは、キャンプ場で寝ている同級生がいじめられているのを見ながら、何もできずにいたことを思い出します。そのとき、自分ではなくてよかったと安心さえ感じたといいます。  撮影の場面では、いじめを受けたクラスメートがその場に立ち会い、再現される場面を目の当たりにしています。この手法には深い意図と配慮が感じられます。なぜなら、いじめを受けた本人を抜きにして、その物語を完全に伝えることはできないからです。

 

その人にとっては、この体験がどれほど辛いものかが伝わってきます。カメラに向かって「もう自分を知っているから、この経験は必要ないと思っていた」と告白します。でも、モニターを見つめ、涙を流しながら彼女はセシリアにそっとささやきます。「これが必要だったんだ」

 

私たちは、今の自分を形作った過去の瞬間にタイムスリップしてもう一度体験することはできません。でも、もしそれができるとしたら、私もそうしたいです。年を重ねると、自分の若い頃に対してもっと優しく、共感できるようになります。どんなに辛い経験も、私たちを強く、賢くし、より良い人間へと成長させてくれるのだと学びます。  

 

映画の最後、セシリアの高校時代の親友キャロラインの死が明らかになります。キャロラインは、他人がどう思おうと気にせず、自分のユニークさにプライドを持っていた、勇敢な人物だったとセシリアは語ります。それこそが、セシリアが彼女から距離を置いた理由だったのかもしれません。キャロラインの強さは、セシリア自身の「受け入れられたい」という欲求と対照的でした。

 

 

10代の友情はもろく、未熟さや不安で満ちています。セシリアはその当時、自分をそのまま愛し、受け入れてくれる人がそばにいたことに気づいていませんでした。でも、気づいたときにはもう遅すぎたのです。最も勇敢で恐れを知らない人でも、時に心が折れることがあるのです。  

 

セシリアは映画を通して、彼女との思い出を再現し、キャロラインを讃えます。この追悼は、温かくも切ないものです。それは、無条件の友情の美しさと、その友情を失う痛みを思い出させます。  

 

この映画を見て、自分の子供時代から大人になるまでの違和感や不安、そして周囲に溶け込みたいという思いが蘇りました。この経験は決して私だけのものではなく多くの人が体験するもの。だからこの物語は重要なのです。私たちが陥りやすい感情の原因を明らかにし、傷ついた人々を癒し、私たちを成長させ、平和を見出す希望を与えてくれるからです。  

 

キャロラインがいなくなったことで、セシリアは友人の存在がどれほど自分の過去を明るくしていたのかを知ります。キャロラインからの本物の友情のおかげでセシリアはあの時代を耐えることができたのです。憎しみは鋭く冷たい孤独の記憶を残しますが、愛は過去の記憶に色彩と温かさを加えてくれます。  

 

私たちに与えられた時間は限られています。本当に自分を理解し、受け入れてくれる人々を大切にしましょう。そのつながりこそが人生に意味を与えるものだからです。気づくのが遅かった後悔する前に、その人たちをしっかりと抱きしめましょう。

 

オフィシャルサイト:https://www.hbo.com/movies/you-were-my-first-boyfriend

  

 

 

血液検査解析で自分の身体を知る。ごきげんな毎日をサプリメントでサポート【サプリメントクリニック 花井紗弥子さん】

 

慌ただしい日々の中で「なんとなく体調が優れない」「疲れが抜けない」と感じている方も多いのではないでしょうか。そんな不調を改善しようと、サプリメントを利用している方もいるかと思います。

 

今回お話を伺ったのは、産科麻酔科医として働きながら、ご自身でオンライン完結型のサプリメントクリニックを運営されている花井さんです。

 

市販のサプリメントを選ぶときのポイントから、花井さんがサプリメントクリニックを立ち上げた理由、気になる血液検査解析の具体的なプロセスまで教えていただきました。

 

花井紗弥子

産科麻酔を専門とする麻酔科医。総合病院や分娩施設で勤務しながら、ご自身でオンライン完結型のサプリメントクリニックを運営。

日本専門医機構麻酔科専門医

日本麻酔科学会指導医

産科麻酔科医師

母胎救命インストラクター

臨床分子栄養医学研究会認定医

Orthomolecular Nutrition Doctor

 

サプリメントは「どこで買うのか」が大事

 

ー 今は薬局やコンビニなどでサプリメントが気軽に購入できますが、サプリメントを購入する時に知っておくべきことはありますか?

 

アンチエイジングや睡眠の質を高めるなど、さまざまな目的に合わせたサプリメントが販売されていますが、「これだけ飲めば効果が得られる」というのは正直難しいと思っています。というのも、人の体はとても複雑です。なぜその栄養素が不足しているのか、根本的な原因にアプローチしないと永遠とサプリメントを摂り続けなければいけないことになります。

 

また、サプリメントを購入するときには、どこで買うのかが大切です。「原材料にこだわっている」とか「〇〇工場で作っています」といった表示をよく目にしますが、輸送中や保管中の環境が適切でなければ、品質を保つことが難しいからです。

 

たとえば、健康食品として人気のナッツは、海外からの輸送や保管の過程で見えないカビが発生することがあり、問題になっていたりするんです。サプリメントも同じようなリスクがあるので、購入する時は流通経路や保管状況まで確認すると、より良い製品に出会えると思います。

 

ー 流通経路や保管状況まで確認するのはなかなか難しそうですよね。

 

流通経路までしっかり管理している会社は、大手のECサイトでは販売していないことが多いです。そのためサプリメント会社の公式サイトから購入したり、国産のものを選んだりすると、より良いサプリメントに出会えるのではないでしょうか。

 

ー 手軽にサプリメントが買える分、つい色々な種類を試したくなります。たくさんの栄養素をサプリで摂取することで逆に身体に害が及ぶことはありますか?

 

実際のところ、手軽に購入できる安価なサプリメントには、栄養素がそれほど多くは含まれていないことが多いです。そのため、飲み過ぎによって身体に影響が出ることはあまりないと思います。

 

というのも、栄養素が多く含まれているサプリメントは、体に大きな影響を与えるため、むやみに販売できないからです。以前、製薬会社の方に「良い商品だから一般向けに販売しないのですか?」と聞いたところ、「過剰摂取によって体調を崩されたら困るので、ドクター専売にしているんです」と言われたことがあります。また、一見安価に思える市販のサプリメントでも、クリニック専売のサプリメントと同じ量の栄養素を摂ろうとすると、2倍近い費用がかかることもあります。

 

もちろん、気持ち的に元気になるなど、市販のサプリメントを飲むメリットはあります。一方で、気をつけるべきは添加物です。安価で手に入りやすいサプリメントには、栄養素よりも添加物が多く含まれている場合があります。栄養素的には胃が痛くなるはずがないのに、胃がキリキリする……といった時は、添加物が影響しているかもしれません。

 

血液検査解析で自分の身体を知る。オンライン完結型サプリメントクリニック

 

 

ー サプリメントクリニックについてもお話が聞きたいです。産科麻酔科医である花井さんがサプリメントクリニックを開院されたのはどうしてですか?

 

きっかけは2つあって、1つは父のような医師を目指していたからです。父は田舎町で小さなクリニックを営んでいて、地元の人たちみんなが父の患者さんでした。街ですれ違う方から「お父さんに診てもらうと元気になるよ」と言われることも多く、私も身近な相談役のような医者になりたいと思っていました。

 

もう1つは、サプリメントの基礎でもある分子栄養学を学んだことです。西洋医学は主に病気の治療を目的としていますが、病気だけで人の身体を理解するのは難しいと感じ、もっと身体の仕組みを知るために様々な研究会や勉強会に参加して勉強を始めました。

 

医者になってからは、友人や知り合いから「最近、頭が痛いんだけど、病院に行った方がいいのかな?」「たまにめまいがするんだよね」といった相談を受けることも多く、病院に行くほどではないけれど、不調を感じている人がたくさんいることを実感しています。

 

医者としての知識や経験、さらに学んだ分子栄養学を活かして、身体のことを気軽に相談できる場所を提供したいと思い、2022年11月にサプリメントクリニックを開院しました。

 

 

ー サプリメントクリニックは血液検査解析から面談、サプリメントの処方までオンラインで完結できるのでしょうか?

 

気軽に自分の身体を知ることができる場所を目指し、オンラインで完結できる形にしました。

 

というのも、私自身もこれまで色々なクリニックを受診してきましたが、病院に行くことが一大行事だと感じたからです。少し前まではオンラインシステムがあまり普及していなかったこともあり、電話で予約をして、検査に行って、結果が出たらまた予約をして、検査結果を聞きに行く。しかも診察までの待ち時間もあります。医療サービスを気軽に利用できない現状を実感しました。

 

ー 色々なサプリメントのクリニックを調べてみましたが、検査費用が高額な印象を受けました。花井さんのサプリメントクリニックは15,000円で血液検査解析から面談まで受けられる。受診するハードルが低いので、自分の身体を知るために私も検査を受けてみたいです。

 

パーソナライズした検査は、日本よりもアメリカの方が進んでいて、血液検査だけでなく、唾液検査、検便、毛髪検査を取り入れているクリニックもたくさんあります。でも、それを輸入して日本でやろうとすると、1回の検査がすごく高くなってしまう。「自分の身体を知りたい」という理由で受けるには、ちょっとハードルが高いですよね。過去に毛髪検査を受けたことがあるのですが、毛根に近い部分をかなりの量切る必要があり、負担が大きいと感じました。

 

私はよりたくさんの方に自分の身体を知ってもらいたいと思っているので、 気軽に受けられる血液検査の解析を提供しています。

 

ー ちなみに、オンラインで血液検査解析ができるクリニックは日本ではどのくらいあるのでしょうか?

 

血液検査の解析は医師にしかできません。そのため、クリニックで受けられるところはあると思いますが、オンラインで完結できるサービスは、まだほとんどないと思います。

 

ー オンライン診断は具体的にはどのような流れで行われるのでしょうか?

 

オンラインショップで「血液検査によるカラダの状態解析」というメニューを購入いただいた後に、メールで血液検査結果の写真と60項目の問診を送っていただきます。それを元に解析レポートを作成し、オンライン面談を行っています。

 

健康診断や人間ドックの血液検査の結果がある方はそれを送っていただきますが、血液検査の結果が古い方や、もっと詳しく調べたい方には、提携病院を紹介して採血いただくことも可能です。

 

ー 血液検査の解析では、どのようなことがわかるのでしょうか?

 

主にタンパク代謝、糖代謝、体の酸化度合い、ミトコンドリア機能や副腎機能などが分かります。

 

人の身体って、知らない間にいろいろなシグナルが送られているんです。臓器も細胞も常に動いていて、それを可視化すると「ここの反応が落ちているから、これが足りないんだな」というのが分かる。さらに、反応が悪くなっている根本的な原因も見ていけます。

 

ー 生身の身体を見なくても、血液検査の解析から足りない栄養素や、その原因まで知ることができるのですね。オンラインの面談ではどのような話をされるのですか?

 

血液検査解析や問診だけでは見えない部分を知るために、その方に合わせていくつか質問をさせていただきます。その上で、「今あなたの体ではこんなことが起こっていますよ」という説明や、睡眠や運動、食事などの生活習慣をアドバイスしたり、最適なサプリメントをご提案したりしています。

 

ー サプリメントありきではなく、生活習慣をアドバイスした上で必要があればサプリメントを提案するのですね。

 

そうなんです。身体を整える上で大切なのは、やっぱり生活習慣なんですよね。

 

たとえば、山登りをするとき。杖や紐を使って体の負担を和らげることはできるけれど、自分で上る力は必要不可欠です。サプリメントは杖や紐の役割を担うものであって、あくまでも補佐的な存在。最終的に目指しているのは、サプリメントがなくてもご機嫌で過ごせる状態です。

 

ー サプリメントクリニックを受診された方で、 印象に残っている患者さんはいますか?

 

お一人は、もともと健康意識が高い60代の女性です。帯状疱疹が長引き、日常生活に支障をきたすほどの痛みに悩まされていました。病院の先生からは「帯状疱疹は長く付き合うものだよ」と言われていたそうです。ご自身でも本を読んで良さそうな方法を試したり、食事を工夫したりしていましたが、思うような改善が見られず、私のところに来られました。血液検査を解析した結果、ミトコンドリア機能の低下が見つかり、最初は5種類のサプリメントを摂っていただきました。お客様ご自身も食生活を工夫されたため、途中から3種類に減らし、2ヶ月後には病院の先生も驚くほど症状が改善して仕事に復帰されました。現在は、健康維持のためにお気に入りのサプリメントだけを飲まれています。

 

もう一人の方は、健康増進のために受診してくださった20代の方です。バリバリ働いていて、特に自覚されていた不調はなかったようです。しかし、血液結果解析をしたところ、何個か気になるところがあったので、サプリメントをご提案させていただきました。サプリメントを飲み始めてから、ものすごく悪かった寝起きが良くなったり、立ちくらみがなくなったり、肌荒れが解消されたり、これまでイライラしていたことをうまくスルーできるようになったり、たくさんの変化が現れて「あの症状って身体の不調だったんだ」と驚いていました。

 

ー 寝起きが悪いとか、イライラしがちとか、特質だと思われることでも、足りない栄養素を補ってあげることで改善できることもあるのですね。驚きです!

 

自分の身体を知ることで、ごきげんに過ごせる人を増やしたい

 

 

ー 花井さんご自身が健康のために意識していることはありますか?

 

よく寝ることとストレスをためないことを意識しています。

 

少し前は子どもを寝かしつけた後に仕事をすることもありましたが、今は子どもと一緒に寝て、しっかり睡眠時間を確保しています。

 

あとは、ストレスをためないために、「やらねばならぬ」という気持ちを一旦置くようにしています。アメリカでは「Longevity」(長寿医療)という、より健康的な加齢を目指すための医療・研究が進んでいて、週150分の運動が推奨されているんです。私はそういった数字を聞くと「毎週150分運動しないと」と思い込んでしまうタイプ。でも今は無理をせず、自分のペースでジムに通っています。食事も基本的には自炊を心がけていますが、疲れているときは外食したり、レンチンで済ませたりすることもありますよ。何かを実行するということは、その分何かを犠牲にすることだと思うので、無理のない範囲で取り組むようにしています。

 

ーサプリメントも取り入れていますか?

生活や食事内容から不足しそうな栄養素があれば、その都度サプリメントで補っています。状況に応じて、食物繊維、ビタミンC、ビタミンB群、マルチビタミンミネラル、鉄……などを飲み分けています。

 

ー 花井さんはサプリメントクリニックの運営を通じて、どのような世界を目指していますか?

 

みんなが毎日をごきげんに過ごせる世界になったら良いなと。分子栄養学を勉強することで、改めて健康の大切さに気がつきました。体調が優れないと、やる気が出なかったり、頑張りきれない時がありますよね。

 

たとえば、イライラしてしまう時も、それがPMSによるものなのか、あるいは別の原因があるのか。その原因を知って適切に対処できれば、「頑張らなくちゃ」ではなく「今日も頑張ろう!」と前向きな気持ちで過ごせると思うんです。

 

サプリメント、ヨガ、マッサージなど、心と身体を整える方法は人それぞれです。サプリメントクリニックは、自分の身体を知って整えるための1つの選択肢になれたらと思います。

 

ー 最後になりますが、どういった方にサプリメントクリニックに来て欲しいですか?

 

性別や年齢に関係なく、すぐに怒ってしまったり、気持ちが落ち込みやすかったり、本来の自分の力を発揮できていないと感じている方にぜひ来ていただきたいです。

 

私自身、子育て中のママであり、産科麻酔科として働いていることから、特に、女性や子育て中のママを応援したいという思いは強いです。もちろん男性も歓迎ですよ。

 

西洋医学は多くの人に当てはまる「正解」を見つけることを重視しています。それは大切なことですが、どうしてもその治療が合わない人もいるわけです。その点、サプリメントクリニックでは一人ひとりの身体を個別に診ることができます。健康増進、病気の治療、美容など、目的は何であってもかまいません。その方に適したアプローチをご提案させていただきます。

 

 

花井紗弥子

サプリメントクリニックHP:https://supplclinic.stores.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/dr.sayako_hanai/

 

乳がん診断による精神的影響とマンモグラフィ検査の重要性

 

多くの人が、乳がんの影響を受けた人を知っているでしょう。それは友人、母親、姉妹、またはあなた自身かもしれません。米国では、約8人に1人の女性が一生のうちに乳がんにかかるとされています。毎年、乳がんで40,000人以上の女性が亡くなっています。乳がんを早期に発見することで、生存率の向上に繋がる可能性があります。

 

マンモグラフィ(乳房X線撮影)は乳がんを予防することはできませんが、早期に発見するための最も有効な主要な検査のためのツールです。マンモグラフィを受けるべき時期については、医療提供者に相談してください。乳がんの検診を受けるために、このようなクリニックに行くことがとても大切です。

 

マンモグラフィは命を救う手助けをします

 

推奨されるマンモグラフィ検診を受けていない女性も多く、その理由には恐怖や時間、費用への懸念、マンモグラフィについての知識不足、医療サービスへのアクセスが限られていることなどが含まれます。

 

信頼できる健康に関する情報や、メンタル面でのサポートを提供していくことで、こういった女性が検査に対して感じる持つハードルを低くしていくことができます。

 

乳がん診断後のメンタルヘルスケア

 

乳がんと診断された後、人々は治療前、治療中、治療後にさまざまな浮き沈みを経験するのが一般的です。不安や悲しみ、ストレスを感じることもありますが、これらの感情は時間とともに薄れることもあります。しかし、時にはこれらの感情が数ヶ月、あるいは数年続き、日常生活に影響を及ぼすこともあります。どんな感情も正しい、正しくないという判断はせず、こういったネガティブな感情を持つタイミングも人それぞれであることを覚えておいてください。

 

乳がんと診断された人は、まずメンタルヘルスのサポートを受けることがメリットになるでしょう。以下のような場合、メンタルヘルスの専門家と話すのが良いかもしれません。

 

  • 診断やその変化を受け入れるのが難しい場合乳がん治療による疲労や吐き気、気分の変化など、身体的および感情的な
  • 副作用がある場合
  • 治療の選択肢などについて、心が押しつぶされそうなプレッシャーを感じている場合
  • 仕事や家庭での責任にどう対応するかについて不安がある場合
  • これからの生活が変わり、家族や友人との関係に影響を及ぼすことへの怒りを感じる場合
  • 医療費の負担や仕事の休暇の問題、好きなことに費やすお金が足りないことなど、経済面での不安がある場合
  • がんの再発に対する不安を感じている場合
  • 死への恐怖を感じている場合
  • 髪や乳房の喪失、性的健康の変化など、身体的な変化に対する悲しみを感じている場合
  • 将来の妊娠に関する心配がある場合

 

多くのがんセンターでは、メンタルヘルスサービスをがんケアの重要な一部と考えており、ソーシャルワーカーや心理士、精神科医が個別のサポートとカウンセリングを提供しています。同じ経験をしている他の人々と話したいという人のために、患者支援グループを提供しているがんセンターもあります。また、一部のがんセンターでは心理腫瘍学という、がんと診断された人やその家族が直面する心理的、感情的、社会的な問題に焦点を当て支援をしています。

 

人それぞれの状況は異なります。診断直後に1、2回のカウンセリングを必要とする人もいれば、治療が終わった後に医療チームから離れたことで支えが必要と感じる人もいます。自分に合ったサポートを見つけるまでには時間がかかることもありますが、それぞれに合った方法を見つけていくことが大切です。

 

 

メンタルヘルスサポートがもたらす効果

 

一部の専門家は、メンタルヘルスサポートを受けることが乳がんの治療効果を改善する良い方法であると考えています。いくつかの研究によると、感情的に安定している人の方が治療計画に従いやすく、診察の予約に出席し、運動や栄養に関する推奨事項を守る可能性が高いとされています。他のがん患者やサバイバーと出会い、自分のコミュニティを築くために、乳がん啓発のためのウォーキングイベントに参加するのも有益かもしれません。

 

多くのメンタルヘルス専門家は、できるだけ早くサポートを受けることを推奨していますが、カウンセラーと話す、オンラインサポートグループに参加する、またはアートセラピークラスに参加するのに遅すぎることはないとしています。診断を受けたばかりの人、治療を受けている人、治療を終えた人、誰にとってもメンタルヘルスサポートは役立ちます。

 

  • 不安、うつ、慢性的なストレスの軽減
  • 幸福感、満足感、楽観的な気持ちを促し、前向きな見方ができるようになる
  • プレッシャーを感じた時に役立つ対処スキルを学ぶ
  • 家族や友人との関係を強化する
  • 睡眠の質を改善する

 

乳がんと診断されることは、多くの人にとって精神的に大きな負担となります。不安や恐怖、孤独感、さらには将来像が見えなくなることで、精神的なストレスが高まります。しかし、適切なサポートや早期発見が心の安定を保つために重要です。この点で、定期的なマンモグラフィは重要な役割を果たします。早期に乳がんを発見することで、治療の選択肢が広がります。自分自身と家族の健康を守るためにも、マンモグラフィの重要性を再認識し、定期検査を受けることを心がけましょう。

 

関連記事:乳がん人間ドックのワンポイントアドバイス|FeliMedix

 

参考:https://www.breastcancer.org/managing-life/taking-care-of-mental-health

   https://www.fda.gov/consumers/owh-resources-stakeholders/pink-ribbon-guide-mammography-matters

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『完璧じゃなくて大丈夫』ヌード写真展に込めた想い

8月に東京で開催された一般女性のヌード写真展「Dear My Body 〜親愛なる私のカラダ〜」 。このイベントの仕掛け役でもあるウィメンズヘルスの小西寛奈副編集長に、写真展を開催することになったきっかけや、女性に伝えたいメッセージについて聞いた。

 

女の子をかわいく撮る天才

クレジット:Women’s Health

 

−−どうしてヌード写真展を開催したのですか?

 

きっかけは、写真家の花盛友里さんの個展での自身の体験でした。彼女の写真展に行った時にとても感激して会場で涙を流しました。その時にこのメッセージを世に広めたい、ウィメンズヘルスでもイベントをやりたい、と強く思ったんです。そのためには、かなりの資金が必要になりますが「絶対に実現させたい」と思い、ゼロから企画をして、8月末に実現できました。夢って実現するんだな、と思いましたね。

 

−−花盛さんの写真をもっと広めたいと思ったのはなぜ?

 

花盛さんは、女の子をかわいく撮る天才なんです。さらに、彼女がライフワークで活動している「脱いでみた」は、かわいいだけでなく、女性のためのおしゃれなヌードなんです。彼女の個展で見るのは「生まれてきてくれてありがとう」「あなたはあなたの体のままでいい」というメッセージが込められた写真ばかり。ぜい肉やシミがついた体、下着の跡など、隠したいものが一切修正されていない写真なんです。

 

女性たちをそのまま撮影し「全員が違って、全員かわいい」と心から思える写真を撮っているのが花盛さんです。彼女が伝えていることは、私自身がずっと伝えたいと感じていたことそのもの。「生まれてきてくれて、 みんなありがとう」という、まさに命への賛美です。

 

クレジット:Women’s Health

 

「ボディポジティブ」から「ボディニュートラル」へ

−−この写真展を「心の処方箋」と表現していますが、写真展を開催することで、どんなメッセージを送っているのですか?

 

「ボディポジティブ」という言葉をご存知ですか。「ボディポジティブ」は、自分の体を大好きになって、太っていてもそのままでもいいよというメッセージですね。そこから派生して、 毛深いとか体に傷があるなどの特徴、障害や年齢、人種などの多様性を肯定しようという考えにまで広がっていると思います。

 

その一方で、自分のありのままの外見を愛そうと言われても、なかなかそうはなれないよ、という声がすごく多いんです。だから、変にポジティブさを強調するのは、 多くの女性の気持ちと違う気がしていました。そんな時に「ボディニュートラル」という考え方に出会いました。

 

この「ボディニュートラル」は、体がご飯を消化してくれる、この手が動くから愛する人を抱きしめられる、足が動くからランニングができるなど、体の機能に注目して感謝するというものです。この「ボディニュートラル」という考え方なら、誰でもすんなりと受け入れられると感じました。この考えがより広まれば、もっと楽になれる人がたくさんでてくるのではないかと、そう思ったんです。

 

−−「ボディポジティブ」を強要しないというメッセージですね。

 

そうです。「無理にポジティブにならなくてもOK。ネガティブな感情もそのまま受け入れ、自分を生かしてくれる体の働きに目を向けよう」ということです。自分の体は一生の相棒ですから、親友のように接してほしいんです。

 

自分の体をそのまま愛そうとは言っても、不健康だけどそのままでいいという堕落した感じとは違います。それでは、自分の肉体をリスペクトしていないし、生まれ持ったポテンシャルを生かしきれてないと思うんです。

 

あなたが持って生まれたものを磨き、それを1番に輝かせることができるのはあなた自身なんです。でも、最近は、遠慮してしまう人が多い気がします。人からどう見られているかとか、自分の体型を変えなきゃという感覚があると、自己肯定感は下がってしまうでしょう。

 

憧れのあの人みたいになりたいという気持ちも悪いことではないですが、そこをストイックに目指しても、 自分の良さを発揮できない気がします。誰にも遠慮せずに生まれ持った輝きを思いきり放てる、そんな世の中になってほしいというメッセージです。

 

コンプレックスから解放され「楽になった」

−−参加者からの印象的な感想は?

 

自分の体は「不完全だからこそ美しいし、愛おしい」と気づいたという手紙をもらいました。参加した他の方たちからも「言葉に救われた」「楽になった」「勇気が出た」といった声をもらっています。ジムで体作りを頑張っていた参加者には「体を育てることが本当は苦しかった」と泣いている人もいました。逆に「自分の体は思い通りの外見ではないけれど、そんな自分をもっと愛してあげようと思った」とか「許されたような感覚があった」という意見もありました。

 

誰からも言われていないのに、自分の体型は世間から許されていないとか、周りに認められない外見だと思ったり、コンプレックスを持っている人も多いと思います。だから、例えば、おっぱいが大きくても小さくてもどちらでもいいし、その大きさは誰と比べているの、ということです。そのあたりがイベントで伝えられたと思います。

 

クレジット:Women’s Health

 

−−「みんな違ってみんないい」という意識は、少しずつ日本にも根付いていると感じますか?

 

私自身は根付いてると感じていました。例えばSNSを見たり若い世代の人と話していると、多様性を認める意識が浸透していると感じます。ウィメンズヘルスの仕事では、多様性を受け入れているフォトグラファーやアーティストと一緒に仕事をすることが多いんです。だから、そういう多様性は身の回りでは当たり前に感じていました。

 

私自身は海外に住んだ経験がないのですが、インタビューした女性たちには「海外に行って意識が変わった」という方が多いんです。日本では太っているからといじめられていた女性は、海外に行ったら体型を気にしなくなったと言っていました。他にも、「あなたは何をしてると幸せなの」「何が好きなの」とよく聞かれた、など、海外の人は、自分がどう感じるかを大切にしていると話してくれた女性もいました。日本にいるときはそういう意識はなかったので、海外で自分は変わったと話してくれる女性がとても多いんです。彼女たちの話しを聞くと、日本での「人と違っていい」という意識の浸透はまだまだなのかな、とも感じます。

 

−−今回の写真展を終えて、次にやりたいと思っている企画はありますか?

 

ウィメンズヘルスは「心と体と地球を健やかにする」というのがミッションのメディアです。そして、このミッションはそのまま私のやりたいこととぴったりで、そんなぴったりな仕事で嬉しいなといつも思っています。次に企画をやるなら、また、何か世の中の役に立つことができないかと思っていますが、まだ模索中です。

 

自分の仕事も楽しくやりながら、それで世の中の役に立ったら最高ですよね。例えば、ウィメンズヘルスでは、古着でワクチンの寄付ができる「オクルヨバッグ」という古着回収サービスを立ち上げました。古着の回収は、ゴミ問題を生んでいるとか、実は地球のゴミが別の場所に移動しているだけだと批判されることもあります。

 

今年で2年目になるこのサービスは、発展途上国の子供にワクチンを寄付できたり、古着も捨てるのではなく、売って活用してもらったり、日本国内の障害者の方に梱包作業という仕事を提供することで雇用を生んだり、社会の経済が回り途中で誰かが役に立つというのが良いなと思っています。

 

あと、熱い想いを持った作り手さんの商品をウィメンズヘルスショップというウェブショップで一緒に販売しています。ここでは、健康だけではなく、地球環境につながるものを作っている人を見つけて、それを世に広めたいと思っています。

 

 

水川あさみさんと「からだ」について語り合う!【対談 / 森カンナと未来人vol.1】

社会を広く見渡すユニークな視点をもち、連載エッセイ『ごきげんなさい』でもそのオリジナルな感性を披露している森カンナさん。彼女が「未来人=時代の先を走るリーダー」を招いて、あれこれと気になるテーマについて本音で語り合う新連載がスタート! 初回のゲストは、プライベートでも親交のある、俳優の水川あさみさんです。