Humming♪

ミソジニーが女性に与える精神的負担と問題|女性が蔑視される原因とは?

 

日本をはじめとする世界各国では、古くから女性が蔑視されてきた歴史があります。

 

その差別は未だゼロになったとはいえず、様々な場面で女性に精神的負担を与えているでしょう。

 

今回は女性蔑視を指す「ミソジニー」について、引き起こされる問題点や解決のためにできる対策についてご紹介します。

 

ミソジニーとは?

 

ミソジニーとは、ギリシャ語の「misos(憎しみ)」と「gune(女性)」が合わさってできた造語だといわれています。

 

意味は「女性に対する差別や嫌悪感・蔑視」であり、規模の大小にかかわらず全てがミソジニーに当てはまります。

 

女性が嫌いだと声を大にしてコメントしている方はもちろんのこと、普段は女性の味方であったり、自身が女性であったりする場合もミソジニーの考えに当てはまる可能性があるため、誰もが他人事と考えずに理解を示すことが大切です。

 

例えば、ミソジニーの代表的な例として「男性による女性軽視」が挙げられるでしょう。

 

古くから日本は男尊女卑の歴史があり、女性は男性よりも劣った存在であるとされてきました。

 

この慣習は現在廃止されていますが、「男性は女性よりも優れている」といった考えが全くなくなったわけではないでしょう。

 

また、女性が抱くミソジニーは、「女性とはこういうものである」といった固定観念に当てはまらない女性に対し、「あの人は変わっている」などと嫌悪感を抱くといったケースが挙げられます。

 

髪を短くカットしボーイッシュな髪型をしている方や、育児を男性に任せて毎日仕事をしている女性などに対し、「女性らしくない」と違和感を覚える方もまだまだ多いのではないでしょうか。

 

つまり、堂々と女性を差別しているわけではなくても、深層心理として女性を蔑んでいる方が多いといえます。

 

この考え方がなくならない限りは、ミソジニーの考えを持つ「ミソジニスト」がゼロになることはないでしょう。

 

関連記事:ルッキズムの意味とは?やめたいけどどうしようもない?

 

ミソジニーが引き起こす問題と精神的負担

自分の心の中で思うだけであれば問題ないことも、声に出してしまったり、同じ考えを持つ仲間を見つけてしまったりすると大きな問題へと発展してしまいます。

 

続いてはミソジニーがどのような問題を引き起こし、女性へどのような精神的苦痛を与えているのかについてご紹介します。

 

性的被害や暴力

ミソジニーの考え方が一般的なものとなった結果、「女性が自分に振り向いてくれないから」「性行為を拒否されたから」などといった理由で性的暴力や一般的な暴力をふるうケースが横行しています。

 

女性たちにとってそんなつもりはなかったとしても、加害者側からすると「女性が自分よりも下の立場である」といった深層心理があるため、拒否されたことを素直に受け入れることができません。

 

丁寧に断ったつもりでも、馬鹿にされたと感じてこのようなトラブルに発展してしまうことが多いでしょう。

 

雇用や教育環境の格差

雇用機会均等法など、様々なルールができ男性と女性の雇用や教育の格差がなくなりつつあります。

 

とはいえ女性の存在を蔑視するミソジニストたちにより、世界では未だに女性の職や学業が奪われ続けています。

 

女性だからという理由で子守りをさせられ学校に通えなかったり、家事や育児を一人で任され家の外に出る機会をもらえなかったりする家庭も少なくありません。

 

日本はというと男女の格差がなくなったようにも見えますが、男女間ではまだまだ明確な賃金格差があります。

 

役職に就く女性の数も男性に比べて少なく、昇格の機会も多いとはいえません。

 

結果として女性は自分に対する評価を上げられず、日々少しずつストレスが溜まってしまうでしょう。

 

社会的な地位の格差

雇用の格差にも通じるところがありますが、男性と女性では社会的な地位にも格差が生じています。

 

コミュニティの大小にかかわらず、リーダーと呼べるポジションに就くのはほとんどが男性でしょう。

 

趣味の集まりであったり、子どもの幼稚園・保育園のPTA活動であったり、様々な場所で男性がリーダーシップを発揮しています。

 

もちろん、男性が先頭に立つことが悪いわけではありません。

 

問題なのはその場にいる女性にトラブルがないにも関わらず、誰しもが自然と女性を排除し、男性を重要ポジションへと推薦してしまうことにあります。

 

この場合は女性自身もサッと身を引き、自分が先頭に立つことをイメージできていないのも問題の一部といえるでしょう。

 

こういった格差が引き起こす孤立感は、女性に精神的苦痛を与えてしまいます。

 

職場においても地域のコミュニティにおいても、女性の意見が通らずに苦しい思いをした方も多いのではないでしょうか。

 

賃金の格差

女性と男性では、全く同じ内容の職に就いていても、賃金に差が生まれやすいといわれています。

 

これは誰かが意図的にそうしようとしているよりも、昔からの慣習でそうなっている場合が多く、根深い問題の一つといって良いでしょう。

 

女性は男性よりも体調不良になりやすかったり、出産や育児で休暇をとる可能性が高かったりすることを理由として挙げている企業もありますが、これでは両者の立場を平等にしているとはいえません。

 

結果として男性よりも賃金が安い女性の方が、積極的に育休を取ったり、家事育児の割合を増やしたりしなければならない状態も珍しくありません。

 

こうなった場合さらに労働時間が減り、重要なポストへの道は遠ざかってしまうでしょう。

 

ミソジニーを巡る問題は一つひとつが分かれているように見えて、実はそれぞれが繋がっており、社会全体で女性を蔑視するシステムが構築されてしまっています。

 

これを改善するのは多くの時間が必要ですが、決して諦めてはならないでしょう。

 

ミソジニーが発生する原因

 

何故私たちの中にミソジニーの考えが生まれてしまうのかというと、その多くは古くからの慣習が原因といえるでしょう。

 

男女平等を目指すとは言いつつも、現在までに男尊女卑の文化が消え去ったとはいえません。

 

こうした文化は知識として私たちの頭に残り、考えや行動に大きな影響を及ぼしているのです。

 

また、私たち一人ひとりがこうした差別問題に関心を向けているわけではないことも、ミソジニーがなくならない原因といえます。

 

近年は学校教育の中で差別について取り上げることもあるなど、徐々に関心を寄せる人が増えてきています。

 

「私は関係ない」と思わず、自分や大切な人に関係することだと捉えれば、自然と問題に対する姿勢が変わっていくのではないでしょうか。

 

関連記事:フェミニズムとは? 歴史、問題、そして解決策

 

ミソジニーとミサンドリーの違い

ミソジニー(女性蔑視)の対義語として、ミサンドリー(男性蔑視)という言葉があります。

 

女性の差別をなくすために動かなければならないのはもちろんのこと、同様に男性も差別されて良い対象ではありません。

 

どちらかを持ち上げるのではなく、双方が平等に過ごすことができる社会作りが大切です。

 

ミサンドリーは男性へ嫌悪感を抱くことを指し、「男性とはこうである」といった固定観念が原因となります。

 

「男性だから料理なんてできないはず」「男性だから女性の気持ちなんて分かるはずがない」といった決めつけが、自然と男性を見下すことに繋がっているかもしれません。

 

その結果、ミサンドリーという言葉を知らない方が、男性蔑視に苦しんでいる可能性もあります。

 

一方、ミソジニーとミサンドリーでは決定的な違いがあります。

 

それはミソジニーが雇用機会の減少や賃金の安さといった差別が問題視されているのに対し、ミサンドリーを原因とする明確な差別はそれほど表に出てこず、社会全体の問題とはなっていないという点です。

 

女性専用車両に間違えて乗った男性が大バッシングを受けるなどの事例も報告されていますが、そもそもが女性を守るための車両であるため、避難されるべきは男性だといった意見もあります。

 

現時点では、ミサンドリーを原因とする大きな問題が表面化していないため、どうしてもミソジニーに注目が集まりやすいのが現状です。

 

大切なのはミソジニーに対し真摯に向き合うのに加え、ミサンドリーの意味を知り、自らが無意識のうちに差別をしていないかどうか確認することといえます。

 

ミソジニーなどの性差別がない の社会を目指すためにできること

 

ミソジニーやミサンドリーなど、性別によって生まれる差別がない社会を目指すためには、私たち一人ひとりが意識を変えていかなければなりません。

 

これからご紹介する4つのポイントをおさえ、自分から誰かを差別することがないよう注意しながら生活を送りましょう。

 

暴力やセクハラへの対策

ミソジニーに関する問題としてもっとも深刻なのは、性暴力やセクハラの横行です。

 

加害者を減らすことができれば問題はありませんが、現状はそうもいかないでしょう。

 

まずは被害を受けた方がすぐにしかるべきところへ相談できるよう、手厚いサポートを受けられる体制を整えておくことが大切です。

 

現在日本ではカウンセリングや精神科・心療内科での治療、警察による捜査など様々な面からの支援を受けることができるため、ためらわずに利用しましょう。

 

必要に応じて弁護士などの法的機関へ支援を依頼することも大切です。

 

職場の雇用条件や待遇の改善

個人では難しいものの、それぞれの企業が取り組む課題として挙げられるのが雇用条件の均等化です。

 

雇用条件は経験やスキルに応じて変化を持たせるべきであり、性別によって差別されて良いものではありません。

 

もちろん男女の違いだけでなく、正社員や契約社員・派遣社員・パートタイマーなど、雇用の種類に応じて明確な差をつけることもNGです。

 

また、近年は男性の育児休暇取得が推進されており、実際に取得した実績のある企業も増えてきています。

 

近年の傾向として夫婦は共働きであることが多く、その分育児も協力して行う家庭が増えているため、男性であってもパートナーを支える目的で育児休暇の取得を目指すと良いでしょう。

 

その結果、男性と女性の休暇取得が一律となり、雇用条件に差が生まれにくくなります。

 

女性の地位向上

2022年には女性活躍推進法などの内容が一部改正されるなど、徐々に女性の地位向上に向けた動きが加速しています。

 

女性であっても役職や重要なポストを目指せるよう、職場と家庭を両立しながら働ける環境づくりが進められています。

 

もちろんこの活動には男性の協力も必要不可欠となるため、企業全体が一丸となって行動する必要があるでしょう。

 

重要ポストに就いた女性の情報や、男性の育児休暇取得率などを公式サイトで公開している企業も多いため、気になる方はチェックしてみることをおすすめします。

 

その他

これまでに挙げた内容は、個人が動いたからといってすぐに変化が訪れるものではありません。

 

一方、もっとも大切な行動といえるのが、「私たち一人ひとりの意識改革」ではないでしょうか。

 

日々の中で何気なく考えてしまう「男性だから」「女性だから」といったワードを捨て、性別に関係なく相手を一人の人間として考えることが大切です。

 

もちろん性別だけでなく、生まれや年齢・学歴・趣味などあらゆる面で人を差別することがないよう、相手の個性を尊重する考え方が重要です。

 

関連記事:憂鬱からワクワクへ。働き方の変化は人生を変える

 

まとめ

ミソジニーは明日すぐにでもなくすことができるものではありません。

 

何百・何千といった女性蔑視の歴史の中で、今このときが転換期となるよう、私たち一人ひとりの意識を変えていく必要があるでしょう。


関連記事