Humming♪

日本美容を語り継ぐ。
アップサイクル素材と向き合う2つのコスメブランド

肌や体に良いもの、使い心地が良いもの、気分が上がるもの・・・コスメや美容ツールを上手に取り入れて、Hummingな毎日を送りたい。美容ライター 荒木奈々さんがおすすめをご紹介します。


ロスなし!アップサイクル素材を積極的に配合

どうやら私、ゴミ捨てが苦手です。ちゃんと分別しているし、冷蔵庫の野菜も使い切るようにしているのに毎回ゴミが多い! ゴミ捨てのたびに生活センスが問われているような気がして残念な気持ちに。またコーヒーかすを消臭ケアに再利用するなど試してきましたが、続けられないことも反省。2022年は無駄なものを買わないことが先決ですが、できるものはアップサイクルしつつ、ゴミのスリム化も心掛けたいと思います。
コスメ界もアップサイクル原料を積極的に使うブランドが増えているようです。真摯に取り組んでいる国産ブランド「フレナバ ナチュラル&オーガニック」と「明日 わたしは柿の木にのぼる」に注目してみました。


My select 01 福光屋×コスメキッチンが共同開発した、先端発酵コスメ

クレンジング

クレンジングクリーム 120g ¥4,180/フレナバ ナチュラル&オーガニック

江戸時代には冬瓜をお酒で煮詰め、その汁をパックとして使っていたとか、古い日本酒はお風呂に入れると美肌効果が期待できるとか、日本酒にまつわる美容ネタはたくさん。日本酒コスメも多数ありますが、メジャーにしたのは福光屋! もともと1625年創業の金沢の酒蔵で、酒造りの職人の手は美しいといわれる理由を研究、約30年前からコスメづくりをスタートさせました。

その福光屋とオーガニック&ナチュラルコスメの巨頭コスメキッチンが共同開発したのが、昨年デビューした「フレナバ ナチュラル&オーガニック」です。気になるネーミングは、「触れなば落ちん風情」ということわざからきており、“思わず触れたくなる、触れればすぐさま魅力に取り憑かれる”という意味が込められているそう。確かにこれまでのオーガニックコスメにはない、ヴィヴッドなボトルにまず惹かれます。

用意されているのは、クレンジング、ローション、セラム、オイル、クリームの5品。すべて天然由来成分100%で、酒蔵のならではのアップサイクルの素材、酒粕の効果を存分に体感できるのがこちらのクレンジングです。

アップサイクル素材1・・・酒粕
日本酒を醸造するときにできる酒粕は、食用として販売されるもの以外は産業廃棄物として処理されるのが現状。福光屋では年間約50トンの酒粕が発生するそうですが、それらを化粧品や美容研究に有効活用し、酒粕廃棄ゼロを実現しています。また酒粕の利用価値をさらに発展させるため、大学と連携して研究も遂行中。

クレンジング

クレンジングは日本ナチュラル・オーガニックコスメ協会JNOCAのオーガニック認証取得。

「フレナバ ナチュラル&オーガニック」のために有機栽培米を100%使用した独自成分を4種類開発し、「クレンジング」には保湿成分の酒粕エキス、コメ発酵液、酒粕パウダーの3つが採用されています。こちらの酒粕パウダーは有機純米酒の酒粕をノンアルコールの粉末状にしたもの。日本初の成分で高い抗酸化力を発揮するうえ、食物繊維を豊富に含んでいます。日本酒の恵みたっぷりのミルクのようなやわらかいクリームで、ポイントメイクなど頑固な汚れや不要な角質もすっきりオフ。負担レスなので、敏感肌にもおすすめです。洗うたびに肌がワントーンアップ!

それから乾燥が気になる肌に追加したいのが、有機酒粕オイルが中心の「エモリエントオイル」。有機酒粕パウダーからスクワランで抽出したオイルで、肌なじみのいい天然ヒト型セラミドが含有されています。そこに「フレナバ ナチュラル&オーガニック」のもう一つの主役素材、クロモジの精油を配合。ざらつきが気になる肌にもスルスルなじみ、翌朝にはモチモチ肌に。通常はスキンケアの仕上げに、またはブースターオイル、パサパサと広がりやすい髪や、われやすい爪のレスキューケアとしても活躍してくれます。

オイル

エモリエントオイル 25ml ¥6,600/フレナバ ナチュラル&オーガニック

アップサイクル素材2・・・クロモジ
福光屋で使用する仕込み水の水源地、石川県白山麓にはクロモジが自生。「フレナバ ナチュラル&オーガニック」では、杉の木の間伐材として大量に破棄されていたこのクロモジを原料として採用し、オイルには精油を、クレンジングには水蒸気蒸留法で抽出した蒸留水を処方。

クロモジの香りはリフレッシュ、リラックス効果だけでなく、抗菌、抗炎症など多才なパワーを持っているといわれています。

フレナバ ナチュラル&オーガニック
www.fukumitsuya.com/cosme/


My select 02 昔ながらのニオイケアをアップデートしたフェミニンコスメ

ウォッシュ

フェミニン ウォッシュ 350ml ¥4,950/明日 わたしは柿にのぼる

実家の庭には柿、あけび、ざくろの木、ドクダミなどがありました。今注目の食べても塗ってもいいスーパーフードはわりと身近にあったのです。残念ながら、今はどの木も植物も残っていませんが・・・。たびたびニュースで取り上げられる農家の高齢化や人手不足、荒廃する畑などの問題はもっと向き合うべきなのかもしれません。

そんななか「明日 わたしは柿にのぼる」は、福島県国見町の柿に着目。

アップサイクル素材3・・・柿
冬でも日射量が多く、昼夜の寒暖差が大きい福島県国見町は、フルーツ栽培に最適な環境。特産品はあんぽ柿。収穫しきれない柿があり、「明日 わたしは柿にのぼる」では製造工程で廃棄されていた柿の皮を主原料に採用しています。

柿の皮に含まれるタンニン。ぬか床に入れればクサみを消し、味をマイルドにする消臭・抗菌作用は明らか。また柿を使った昔ながら美容もいくつもあって、柿渋石けんで体を洗ったり、柿渋液で歯を磨くというのは今の時代にも。「明日 わたしは柿にのぼる」は、そんな柿の皮の美容パワーにスポットをあて、フェミニンケアを開発しています。

一度始めるとハマってしまうデリケートゾーンのお手入れ。昨今はフェミニンケアの先進国といわれる欧米のアイテムだけでなく、韓国や台湾などアジア系、さらに国産ブランドまで豊富にアイテムを選べるようになりました。他の部位に比べて経皮吸収は40倍以上なんていわれますから、中身が見える、優しいお手入れを意識したいのですよね。そうはいってもニオイが気になる部位なので、清浄作用が頼りないのはNG。一方で洗いすぎると必要な菌まで洗い流されてしまうのも問題・・・。

フォーム

泡で出てくるので、ゴシゴシ洗いも必然的に防げます。

「明日 わたしは柿にのぼる」の「フェミニン ウォッシュ」は、柿の皮に、ティーツリー、フランキンセンス、夏みかん、米ぬかを原料としたシンプル設計。もちろん不要なものは一切排除。プッシュするとフワフワの泡が出来上がり、なじませるようにオンすることで汚れを取り去ります。デリケートな部位のpH値を見つめた弱酸性のソープなので、菌のバランスを崩すトラブルも心配ないはず。

デリケートゾーンは汚れがたまりやすく、色素沈着しやすい部位なのに、意外とみんなしっかり洗えていないとか!? 肌が十分柔らかくなってから洗うと不要な角質もスムーズに落ちやすくなるそうなので、お試しを。

ミスト

フェミニン ミスト 30ml ¥4,180/明日 わたしは柿にのぼる

それから生理前、生理中に、自分のニオイに敏感になることはありませんか? この「フェミニン ミスト」はシュッとひと吹きするだけで、生理時のムレや、気になるニオイをリセット。こちらもソープ同様、柿の皮を中心にニオイ&保湿ケアに優れた植物由来の成分で構成。またマスクの消臭スプレーとしても使えるそう。ポーチの必需品です。

明日 わたしは柿にのぼる
https://ashita-kaki.com/


アップサイクルの取り組みは国産ブランドのみならず、海外でも盛ん。コーヒーやジュースの搾りかすをコスメの原料に再利用するブランドなども。自宅での心がけ、そして地球レベルのゴミ問題も気にしていきたいですね。


TEXT = 荒木奈々

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